そんな冨樫義博の作品「レベルE」のタイトルを聞いてピクンと来たら、かなりコアなファン。「幽☆遊☆白書」のあと、95年から97年までの間に3巻分(現在は文庫版で二冊にまとめられています)月一掲載された、実に15年前の作品です。
これがアニメ化されると聞いて多くの人が叫びましたとさ。「なぜ今頃!?」
そりゃそうですよ、15年前の作品を突然アニメ化ってどゆこと!?
ところがどっこい、開けてみて理解。ああ、これは2011年にやってこそ意味のある作品だと。
自分が90年代に青春時代を送った人間だと想像してみてください。
迫り来る1999年、まさにノストラダムスの大予言の一歩手前。テレビを付けるとUFOやオカルトを扱った番組をばんばんやっている。まさかね、と思いつつも、空を見てちょっとゾクゾクする怖さは感じている、こんな時期に少年・少女時代を過ごしていたとします。
ふと、手元に週刊少年ジャンプ。
ここから15年経過です。15歳の子供は30歳になります。99年のノストラダムス騒ぎを乗り越えて、「あの頃はさー」と笑い話にできるようになりました。
テレビのチャンネルを入れると、当時うさんくさくもちょっと怖い物を垣間見るようにして読んでいた「レベルE」が、最新のCG技術を駆使して動いているじゃあないですか。もうこの事態そのものを笑うしか無いから!
2011年現在、あれほどたくさんあったUFOやUMAを扱ったオカルト番組はめっきりテレビから消えてしまいました。しかし昨今、「世紀末オカルト学院」もそうでしたが、改めて「面白い物」としてオカルトが浮上しつつあります。
アニメや漫画の世界では、99年不安を乗り越えて、オカルトを「楽しむ」術を身につけた作家さん達がたくさん出てきており、オカルト・UFO・UMAなどのネタを題材にした作品が次々生まれ始めています。もうオカルトで笑ってもいいという読者側の社会基盤が出来ているんです。「レベルE」のアニメは、やけくそな暴投でもなんでもなくて、ある意味時流に乗った必然のようなタイミングで制作されているんです。
90年代を懐かしむ、という点ではオープニングが秀逸。歌っているのは栗山千明、作詞・作曲が元BLANKEY JET CITY、現PONTIACSのベンジーこと浅井健一。90年代当時に少年少女だった人間にはたまらないチョイス!
内容は90年代を送った人間には懐かしく、そうではない人間には目新しく映るはず。第一話は無料で配信中です。
おおまかな内容は……ここで説明してしまうと、まだ見ていない人には面白さが減ってしまうのであえて何も言わないでおきます。原作を読んだことのある人は「ニヤッ」としておいてくださいな。代わりに、OPのナレーション(声は立木文彦…つまり碇ゲンドウの声です)を引用しておきます。
「現在地球には数百種類の異星人が飛来し、生活している。友好的な種族、好戦的な種族、多様な性格の異星人が奇妙なバランスを保ちつつ混在している。そのことに気づいていないのは、地球人だけなのだ」
電車であなたの隣に座っているのは宇宙人……かもしれませんよ?(たまごまご)