しかし、上記の例は比較的マニアック。世の誰もが好む匂い、みんなをほっこりさせてくれるような香りだってあるだろう。たとえば、コーヒーの香り……。
実は、使いながらずっとコーヒーの香りを楽しませてくれるボールペンがあるらしいのだ。愛知県名古屋市「東海商事」より発売中の『コーヒーペン』は、独自の技術によって約1年間コーヒーの香りを発し続けるという。
興味深いボールペンだ。しかし、同時に不思議にも思う。どうして1年もの長い間、コーヒーの香りを維持していられるのだろうか? 同社に、直接伺ってみた。
「ボールペンの中央部にセルロース(食物繊維)でできた透明の筒があり、ここにコーヒーの香りを練り込んであるんです。そして、筒には顕微鏡で見れるくらいの小さな無数の穴が開いており、呼吸するように香りが出入りする仕組みとなっております」
香りが1年間キープされる理由には、“筒に開けられた穴が小さい”“セルロースの特性で香りが出入りする”の2点があった。
また練り込む香りの量も、多ければいいってモンじゃないらしい。香りには長持ちさせる比率があるそうで、それは某アメリカ企業の特許技術。
……と言葉で聞かされても、私に香りは伝わってこない。体験してみたい。だから、実際にペンを取り寄せてみました。
そして届いた『コーヒーペン』は、専用の布ケース(コーヒー豆の麻袋をイメージ)に入れられており、「ポケットに1本のモーニングコーヒーを。」という粋な一文も記されている。ここまでされると、期待値は上がる一方。
あとは、肝心の香りである。もう、これが予想以上! ケースに入っている時点で、甘くて、香ばしくて、そんな匂いが私を包み、もはやシラフではない。何とも言えない夢心地になってしまう。
その後、ペンを布ケースから取り出してみる。すると、ボディの真ん中にある筒の中にコーヒー豆が3粒! ここから、コーヒーの香りが漂っているのだろうか?
「実はコーヒー豆は樹脂でできたダミーで、香りをつけたものでもないんです。生のコーヒー豆を入れてしまうと、腐ってしまいますからね」(担当者)
それは、そうか……。
しかし、いい香りである。気がつくと、ペンをクンクンと嗅いでしまう自分がいる。それ程の、愛おしさ。嫌なことも、この香りで忘れてしまえるかもしれない。
「このペンは受験生やビジネスマン、車を運転される方にピッタリだと思います。気分転換したい時に最適ですし、眠くなったらリフレッシュもできます」(担当者)
他にも、コーヒー店のキャンペーン特典として、はたまた紳士服店での販売予定もあるようだ。
その上、実用性についても問題ナシ! 実際に字を書いてみたが、普通にボールペン。替え芯も、市販の通常タイプに対応している。
そんなこの『コーヒーペン』は、1月末より同社ウェブショップ「オリジナル屋」、または東急ハンズアネックス店文具売り場(TEL:052‐903‐1090)にて販売中。価格は820円(税込み)。
最近は、お香・アロマなどで癒しを求める人も多い。それは、このボールペンも同様だろう。
これも、ひとつのコーヒータイムか?
(寺西ジャジューカ)