そこで靴先進国ドイツのフィッティング法と靴加工技術を駆使した靴選びや靴の加工・製作を行っている靴専門店『オートフィッツ吉祥寺』のチーフマネージャー中村奈穂子さんに子どもの靴選びについてお話を聞かせていただきました。
「子どもの足は大人と違ってすべてが未完成です。肌も繊細で骨もほとんどが軟骨のような状態で、例えて言うなら“生たまご”のような感じ。特に、幅が細かったり薄い足のお子様には足に合っているよい靴が発育には非常に大切です。合わない靴で運動量が損なわれてしまったり、靴をいいかげんに履くクセが付いてしまうのもとてもかわいそうなこと」と中村さん。というわけで以下に簡単なポイントを教えていただきましたよ。
1. カカトがしっかりとおさまり、サイドがパカパカとゆるく開いたりしない
2. 底は厚くないものを選ぶ(地面の感触が伝わることも大切なので)
3. 素材はできれば足になじみやすい天然革が理想
4. 簡単に脱ぎ履きができるスリッポンは避け、マジックテープのあるものを選ぶ(日本では脱ぎ履きを重視するあまり簡単に履ける靴を大人が選んでしまいますが、足の形状が最も変化する大切な時期なので、しっかりと足にフィットしたものを選ぶ方がよい)
ちなみに子供靴ってどのくらいの間履けるものなのか気になるところですよね。中村さんいわく、3~4歳頃までは大きく身体が変化する時期なので、少なくとも3~4カ月に一度の測定やチェックが必要だとか。その後は子どもの成長そのものは穏やかになりますが、運動量が増えて筋力も発達する時期で靴の痛み方が激しくなるので、約半年くらいで交換するのが良いとのこと。
これほど頻繁に子ども靴を新調していかなければならないと思うと経済的になかなか辛いものがありますが、私自身、小さい頃に無理をして履いていた靴のせいで右足のかかとが変形してしまい、大人になってからさらに靴選びが難しくなって、どれだけ無駄な靴を買ってしまったかしれません……。そう思えば、小さいころの投資は決して高くはないのかも!?
そもそもドイツではお医者様のカルテのもと保険を使って靴を作ることができ、その靴を作る職人さんはもちろん有資格者。オートフィッツのホームページにある『靴のフィッティング』について読んでも、いかに靴選びがカラダに影響を与えるか、そして足にあった靴を選ぶことが難しく大切なことなのかがわかります。
「最近はシューフィッターさんやショーアドバイザーさんがいるお店も増えてきているので、どんどん質問をして、デザイン以上にしっかりと元気に遊べる靴を(お子さんに)選んであげてください」と中村さん。
ちなみにヨーロッパでは子供靴でも25~27センチくらいまでサイズ展開されているデザインが結構あるそう。意外にオトナが履いても見劣りしないシックな雰囲気のものもあり、防水素材のしっかりとしたスニーカーとして使用できるものもあるらしいので、ヨーロッパにご旅行の際にはチェックしてみるのもオススメだそうですよ!
靴の歴史が短い日本では、まだまだ靴に対する意識が低いのかも。履ければいい、格好よければいいではなく、お子さんの一生を左右する大切なお買い物だと思って、真剣に靴選びをしてあげたいものですね。
(鶴賀奈穂乃)