震災後の電力危機。季節が進んで冷え込みが緩んだこともあって、ここ数日は計画停電も行われていない(4月5日現在)。
しかし、これから夏に向かって冷房需要が高まってゆく。あいかわらず節電が重要なのは、言うまでもない。

節電のワザがあちこちで紹介されているが、実際にどのくらいの効果があるのか。テスター、オシロスコープといった測定器を使って、また玄関口にある電力メーターの数字から、調べてみることにした。

1. 暖房器具
震災後、エアコンとこたつの使用をやめた。寒い日はガス床暖房を使っている。ガス床暖房も電気を使うが、エアコンに比べれば少ない。エアコン440W(ワット)+こたつ70W→ガス床暖房100Wとなり、1日5時間で2050Wh(ワットアワー)の節約。電気代を1000Whあたり21円とすると、月間1291円の節約。ただし、ガス代は増える。

2. 冷蔵庫
2ドアの小型タイプ。元々「中」で使っていたが、震災後「弱と中の中間」に変えた。
庫内の温度を測ってみると、しばらく扉を開閉しない状態で、上段6.3℃、野菜室8.9℃。調理のため数回開閉した直後でも、上段7.4℃、ドアポケット上部10.0℃。食品の保存のめやす「10℃以下」を維持していた。消費電力は平均45W→42Wとなり、1日24時間で72Wh、月間45円の節約。

3. 照明
家にあった全ての白熱電球とクリプトン球を、LED電球または蛍光灯タイプに替えた。また、3つあったキッチンの照明を2つ間引いて1つに、バスルームの照明も3つから2つに減らした。これでも明るさは十分。さらに、リビングの照明を省エネモードに変更。リビング97W→68W、キッチン81W→27W、バスルーム108W→16W、トイレ、納戸、クローゼットはそれぞれ57W→7Wに。LED電球はあまり安いものを買うと、チラツキがひどい場合があるので注意。筆者はうっかり買ってしまい、仕方がないので、それは点灯の機会の少ない納戸用にした。照明全体で1日532Wh、月間335円の節約。


4. テレビとビデオ
液晶テレビを通常モードからシアターモードに変更。113W→77W、1日4時間で144Whの節約。さらに画面を暗くすることもできるが、非常に見づらくなってしまった。頃合が重要だ。使っていないビデオはコンセントを抜いて、待機電力1.3Wを節約。テレビと合わせて月間110円の節約。

5. 炊飯器
以前のコネタで紹介したもの。電気炊飯器の使用をやめてガス炊飯にした。電気炊飯器は炊飯中、オンとオフを繰り返している。平均185W、炊飯時間45分、1日2回で278Wh、月間175円の節約。ただし、ガス代は増える。

6. パソコン
使用していない間も電源を入れっぱなしにしていたが、震災後はスタンバイ状態にすることに。
76W→6W、1日2時間で140Wh、月間88円の節約。

これらを合わせると、計算上は1日あたり3245Wh、月間約2000円の節約となる。その他、トイレの便座ヒーターと温水をオフに、また、洗濯を毎日から2日に1回に、ドライヤーの使用時間も短縮している。筆者宅は、まだ一度も計画停電による電気の停止がない。しかしこれらの節電によって、今年の3月は平均気温が去年に比べて1℃低かったにもかかわらず、電気の使用量は去年に比べて1日あたり3900Wh、比率にして37%減となった。電気代もおよそ2500円減った。

ところで、今回の節電にはひとつ、大きなポイントがある。今、電気が足りないのは、発電用の石油やガスが足りないのではなくて、発電設備が足りないから。この点が、オイルショックの時代とは違っている。家庭での電気の消費のピークは、主に朝と夕方。さらに冷房を使うようになると、昼間も多くなる。今使える発電設備が全部動いても、これらの時間にみんながいっぺんに電気を使うと、電気が足りなくなってしまうのだ。


夕方、エアコンで暖房、リビングとキッチンの照明を点灯、パソコンはつけっぱなし、ごはんを炊きながら家族の1人が入浴中という場面を想定してみる。震災前の我が家の消費電力は1033W。これが上記の節電によって259Wになった。774Wも減少しており、効果は大きい。冷蔵庫は常に使用中であまり変わっていないので、エアコンと照明の節電が大きな効果をあげたと言える。

その他、時間をずらして電気を使うということも、効果が大きい。早朝に洗濯をするとか、深夜に食事をするとか、ちょっと難しいことではあるけれど、可能な限り実践してみたいと思う。夏の冷房対策については、また別途、考えてみたい。
(R&S)
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