これでは水筒が、そして、水筒愛用者が不便でかわいそうじゃないか! ということで生まれたのが、水筒を持つためのバッグ『すいトート』。一見シンプルな普通のトートバッグだが、中を見ると水筒を立てるのにぴったりの仕切りがあり、しっかりとスペースが確保されている。これなら、水筒も直立の状態で落ち着いていられるというわけだ。
「なーんだ、それだけ?」と思わないように。『すいトート』には、水筒&バッグ好きのデザイナー・原口智子さん自らがほしいと思う要素が、ぎっしりと詰め込まれている。素材は日本で織って日本で染められた綿100%の丈夫な帆布だが、持ってみるととても軽い。縫製職人さんによる高い技術でしっかりと縫い上げられており、縫い目の始末や丈夫にするための隠しステッチなど、細部へのこだわりも見られる。一緒に入れるお弁当などの持ち物が倒れないように入れられた底板や、水筒を持たない時も邪魔にならないようにフラップ式になった仕切りなど、使い手への配慮が行き届いたデザインもうれしい。
水筒愛用者なら「なるほど!」と言いたくなる、あるようでなかった機能がいっぱいの『すいトート』。
ところでこのネーミング、私にはどうしても博多弁の「好いとーと(好きです)」に聞こえてしまう。原口さんに聞いたところ、ご両親は福岡出身だが、名付けたご本人は全く意識していなかったのだとか。
「でも、発売してから時々そう言われます。思わぬ可愛い副産物でした。(笑) 基本的には、“水筒+トートバッグ”ということでベタに『すいトート』なんですよ」
と、原口さん。水筒とトートバッグの出会いから生まれた、偶然とは思えない、ほほえましいお話。水筒を10年も愛用しているという原口さんの、こだわりと愛情の賜物なのかもしれませんね。
(池田美砂子)