スケベニンゲン、エロマンガ島……男なら誰しも一度は憧れたことがある地名だ。スケベニンゲンにはスケベな人間ばかり住んでいるわけではないし、エロマンガ島はエロ漫画であふれているわけではない。
頭ではわかってはいても、男の中の譲れない何かが、かの地への憧憬を誘うのだ。事実と見聞は往々にして異なることがある。ゆえにコネタ編集部的には真実を確かめるしかない。すでに右手には、スケベニンゲン行きの切符が握りしめられていた。

スケベニンゲンはオランダにある北海に面したリゾート地だ。国会など行政機関が集まる同国第三の都市、デン・ハーグの郊外にそれは位置する。行政都市とスケベニンゲン。なんと相容れない組み合わせだろうか。しかし、リゾート地ということは、本当にスケベな要素があるという可能性も排除できない。光明が見出せるかもしれないのだ。

基点となったデン・ハーグ中央駅からスケベニンゲンまではチンチン電車を使う。そこから15分ほど乗れば、潮の香り漂うスケベニンゲンに到着だ。
スケベニンゲン海岸は、クールハウスと呼ばれる豪奢なホテルを中心に広がっている。内装も豪華でしっかりしているのだが、すでに脳内で「ここはスケベニンゲン」とインプットされているため、日本のラブホテルのような、一見つくりはゴージャスだがどこか卑猥な感じに湾曲されて、網膜に映し出されてしまった。先入観は恐ろしい。

海岸から少し内陸へ歩くとスケベニンゲン博物館があり、昔のスケベニンゲンの生活習慣を知ることができる。そこで、少々スケベニンゲンの歴史をひも解いてみると、1654年には第一次英蘭戦争にてスケベニンゲンの海戦が勃発。また1818年にスケベニンゲンに浴場が設置されたことが、現在リゾート地になった由縁だそうだ。

さらに、ゴッホをはじめ数々の画家にとってもスケベニンゲンは魅力的だった。そのため多くの作品が残っている。デン・ハーグにはオランダ人画家H.W.メスタグが描いた有名な絵が展示されており、ガイドブックによれば、これはスケベニンゲンを描いたもので、その巨大さ(注:キャンバスの大きさ)ゆえに有名になったという。

ちなみに、デン・ハーグ市内にはスケベニンゲン公園というものも存在する。しかし、どれだけスケベな公園かと思いきや、中高年の方々がまったりと散歩するなど、見た感じでは全くスケベ感はなかった。

このようにどこを歩いても一向にスケベ人間はいないし、スケベな場所もない。
スケベニンゲンにはヌーディストビーチもあるらしいが、季節は冬でスケベさは期待できない。スケベニンゲンと刻印できる記念メダルを作る機械しか、この感情を満たしてくれるものはない。スケベニンゲンから海へとそそり出るピアの先端には丸く膨らんだ展望台が設置されているのだが、あきらめつつその先端へ向かおうとした際、サオの部分でようやくスケベらしいものを見つけることができた。「ホット・セクシー・スタッフ(Hot Sexy Stuff)」という店名の軽いアダルトグッズ店があったのだ! 最後に神が我が願いを叶えてくれたのであろうか。平生の感情であれば気にも留めないだろうホット・セクシー・スタッフは、この日否応にも心を揺さぶった。ついにスケベニンゲンでスケベに出合えたのだ。

最後に断っておくと、Scheveningen(スケベニンゲン)の発音はカタカナ表記にするとスヘーフェニンゲンの方が近いそうです。
(加藤亨延)
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