先日、衝撃な味に出会った。うにの味がする醤油、その名も「うに魚醤」だ。


見た目は普通の醤油と変わらないが、鼻を近づけると、うに特有の芳醇な香りがする。ひと舐めしてみれば、うにの味が口いっぱいに広がり、まるでホンモノのうにを食べたと錯覚するほど。これだけで白いご飯が何杯でも食べられそうだ。

それもそのはず。実はこれ、うにの身をそのまま原料に使った、なんとも贅沢な醤油。うにの味がこれだけ前面に出ているのも当然なのだ。

商品を手がけているのは山口県下関市の老舗、ヤマカ醤油株式会社。「うに魚醤」の発売は昨年秋だが、すでに2009年から同シリーズとして、くじらとふぐを原料にした「くじら醤油」と「ふく魚醤」も販売している。

うに、くじら、ふぐ――。どれも、いわずとしれた高級食材だ。それらを使った醤油となると、おそらく世界初。ちなみに「くじら醤油」は香りとコクが豊かで甘さもしっかり。
「ふく魚醤」はふぐの淡白な味わいを感じる上品なテイスト。いずれも素材の個性がしっかり活きていることに驚かされる。

ヤマカ醤油株式会社の河村さんに話を聞いた。
「地元下関にある水産大学校の原田教授から、地域資源を使って発酵食品を作りたいという話があったのがきっかけです」
下関といえば、ふぐの名産地。そして、瓶詰うにの発祥地。さらに、かつての捕鯨拠点でもあり、今なお、くじら肉問屋が多い土地柄。そんな背景に加え、原田教授はかねてから魚醤のもつ高い抗酸化能力に注目していたのだという。

魚を使った醤油というと、アジアのナンプラーやニョクマムがポピュラーだが、塩分が高くてクセも強く、日本人には少々使いにくい。
「そうならないよう、塩分を控えめに、醤油麹と塩だけで醸造しました」
と河村さん。3種の醤油の塩分濃度は一般的な醤油とほぼ同じ。魚醤にありがちな生臭さもなく、ピュアな味で使いやすい。

同社のサイトでもさまざまなレシピを紹介しているが、たとえば、「ふく魚醤」に酢とオリーブオイルを混ぜればカルパッチョドレッシングになるし、「うに魚醤」で作る焼きおにぎりは絶品。
「くじら醤油」は肉料理とも相性がよく、肉のソースに使うのもオススメ。ほかにも、アイディア次第でいろいろな料理に使えそうだ。

商品は都内の高級スーパーや同社のホームページで販売中。価格は1本1,260円~。3本セットにした「Yamaka Premium 3」(4,200円)はデザインもスタイリッシュでギフトにもぴったり。2010年には「くじら醤油」が野菜ソムリエ協会のご当地調味料選手権で優秀賞を受賞したり、「ふく魚醤」がファミマ.comの地域の名選50選で完売するなど、各方面からも好評価。若い人から年輩の方まで、幅広い層に人気があるという。

地元の水産大学校と老舗醤油屋の協力で生まれた新感覚の醤油。手間ひまかけて作られた味は大げさじゃなく衝撃に値するもの。これまでの醤油観が覆されることうけあいです。
(古屋江美子)
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