以前、コネタで「和紙だけど破れないバッグ」という記事をお送りした事がある。「現代の生活に合った和紙製品を作りたい」という思いで開発された鞄についてのリポートであった。


そして、今度はベビー靴。島根県西部に伝わる石州和紙を製造販売する「かわひら」(島根県浜田市)が4月1日から発売している『神の国から 紙のくつ』は、“和紙で作ったベビー靴”。
「この靴は、歩き始めから1歳の赤ちゃんを対象としております。実際に赤ちゃんに履いていただいて、何度か使用していただく事を想定しながら製造しました」(同社・川平さん)
使用後は記念として飾るといいかもしれない。もしくは保管して、将来訪れる成人式や結婚式などに記念品として渡したり……。

では、どこからどこまでが和紙なのか? ……もう、全てだ。
ひもや縫製用の糸に至るまで、どこもかしこも和紙。
そこで、気になるのは耐久性。しかし、その辺りも抜かりは無しだ。紙の製造時には「溜め漉き(ためすき)」という伝統手法を採用したので、靴全体に厚みがあるという。
「型紙は紙の厚みを出すため、はがきなどを漉くときに用いる“溜め漉き”で。つむぎ糸は薄さと強靭さを兼ね備えるため、伝統的な“流し漉き”にて、1枚1枚手作業で作られています」(川平さん)
脱水後は干し板に干し、日陰で時間をかけて乾燥。
以上の工程で、こだわりを持って作成したそうだ。

そして、ある意味最も気を付けたいポイントについて。これは、ただの靴ではない。“赤ちゃん用”の靴なのだ。
「赤ちゃんの肌に触れることを想定し、まず型紙・つむぎ糸(紙糸)の原料は、石州楮100%にこだわりました。また原料処理は、ユネスコ世界無形文化遺産の石州半紙の製法に準じました。
そして原料には着色・化学漂白を行わず、無添加で昔ながらの楮の風合いを残しております。ネリには、天然のトロロアオイ(オクラ科の植物)を使用しました」(川平さん)
昔ながらの製法による、昔ながらの色合い。実際に目にすると少し黄色がかっており、これこそ何も手を加えていない自然な色合いだという。

そんなこのベビー靴、実は今年の2月に都内で開催された「伝統的工芸品フォーラム展」でグランプリを受賞しているそうだ。
そんな高クオリティの『神の国から 紙のくつ』は、「かわひら」(TEL:0855‐32‐1166)か「石州和紙会館」(島根県浜田市)(http://www.sekishu.jp/kaikan/about.html)、もしくは「島根県物産観光館」(島根県松江市)(http://www.shimane-bussan.or.jp/)にて販売されているとのこと。価格は“できあがり品”が18,000円(税抜き)、手作りキットが6,000円(税抜き)となっている。


石州和紙は、なんと「千年持つ」と言われているという。一生の思い出の品としてピッタリではないか。
(寺西ジャジューカ)