2009年4月からスタートした同イベント、今までに130組以上のご夫婦を送り出してきており、今やすっかり定着したと言っても過言ではない。……のだが、一つだけ課題があった。参列者がどう振る舞っていいのか分からないのだ。笑っていいのか? 拍手してもいいのか? デリケートな場だけに、動作一つ一つをイチイチ確認してしまう。何か正解らしきものを示してくれれば、きっとやりやすいのだろうけど。
お待たせしました。すでに、開講しております。何がって、「離婚式マナー講座」が!
「離婚式を挙げられるお客様は円満な離婚をされた方々ですが、結婚式の常識を持ち込むと思わぬやけどをしてしまうことがあります」(離婚式プランナー・寺井広樹氏)
式の会場を変な空気にしてしまわないよう、この講座でポイントを押さえておきたい。しかも、行われるのは計5回の講義。“参列者編”、“旧郎・旧婦編”、“親族編”、“裂人(さこうど)編”、“離婚式プランナー編”と細かくテーマが分けられており、その内容は広くて深い。私は、栄えある第1回“参列者編”(5月26日)に参加してきました!
そして、当日。
そんなこんなで、講義スタート! まず始めに、離婚式における用語を確認しよう。色々と、勝手が違うのだ。例えば、結婚式では主役の2人を「新郎・新婦」と呼ぶが、離婚式では「旧郎・旧婦」と呼ぶ。「仲人」は「裂人(さこうど)」だし、「御祝儀」は「御終儀(ごしゅうぎ)」、「お色直し」は「お色崩し」であると認識していただきたい。
なるほど。それらを踏まえ、手始めに招待状の返信の仕方のレクチャーです。言うまでもなく、「出席」か「欠席」かに丸を付ける。そして、そこに添えるは一言のメッセージ。
あと、これが悩みどころ。服装についてだ。今までの離婚式では、実際に様々なファッションが見られたという。晴れ着だったり喪服だったり、それぞれの離婚に対する考え方が如実に表れるのがファッションだ。
「基本的に服装は自由です。極端に言えば、他の方が不快に思わなければパジャマ姿でもいいくらいです」(田中氏)
しかし、一つだけ気を付けるべき点が。当然だが、旧郎・旧婦より目立ってはいけないのだ。
他にも、気を付けたいマナーは多い。御終儀の相場は3,000~5,000円。式中は、間違っても旧郎・旧婦の別れた原因などに触れてはいけない。拍手のタイミングは計3回と定められている(旧郎・旧婦が入場するとき、最後の共同作業として旧郎・旧婦が結婚指輪をハンマーで叩き割った瞬間、旧郎・旧婦が退場するとき)。全部、大事!
そして、本日のクライマックス。ブーケトスについてのレクチャーです。言うまでもなく結婚式では新婦が未婚の女性に投げるのが通例だが、離婚式では旧郎が全員に向かって投げる。これを受け取った人は「円満離婚ができる」と言われているそうだ。
「投げられると悲鳴を上げて逃げ惑う女性も多いですが、それはマナー違反です。このブーケをしっかり受け止める器が欲しいですね」(田中氏)
はい。では早速、講義をおさらいしていきましょうか。この日の締めに用意されていたのは、離婚式の登場人物になりきったロールプレイングでした。
特に重視すべきは、拍手のタイミングについてだろうか。何しろ、旧郎・旧婦が指輪を叩き割って参列者が拍手し出すも、後方で見ていた寺井氏から「ちょっとタイミングが早かったですね」とダメ出しが発せられる徹底ぶりで。結果、このくだりは繰り返し3度行われている。スパルタ!
そして、表情についても徹底指導が繰り返された。キーワードは「曖昧」。離婚式において、参列者は“曖昧顔”(「相手を見ていいのかな、どうしようかな」という表情)をするのがふさわしいそうだ。
「挙動不審に見えちゃうかもしれないですけど、致し方ないです」(田中氏)
唇を横に引っ張るようにし、口角はなるべく上がらないよう一直線に。目は決して笑うのではなく、「どのような表情をしたらいいのかわからない」といった雰囲気を漂わす。
……といった、本日の内容。しっかり吸収しました。離婚式にいつ招待されてもおかしくないけど、私は基本を押さえている。いつでも来い!
(寺西ジャジューカ)