しかし今回取り上げたのは、この「大」ではない。もう一つ穴場的な大名古屋、同市中川区にある大名古屋温泉という施設がある。昭和47年に開業した名古屋市内初の高熱天然温泉で、市内では由緒正しい温泉だ。愛知県温泉協会によれば、同市内で同協会に登録されている温泉施設は6ヵ所(そのうち1ヵ所は医療施設)。その筆頭格が大名古屋温泉なのだ。
大名古屋温泉は門構えから「大」という名にふさわしい。敷地入口には茶色をした縦長の巨石が両脇に置かれ、両方に大名古屋温泉と彫られている。建物は3階建てで横に広く、白の外壁に赤で大きく大名古屋温泉の文字が踊る。
外観から予想した通り館内は広々している。自動販売機で入湯チケットを買い、玄関先に立っている従業員へ渡し入館する。ふかふかとした毛足の長いカーペットが敷かれた長い廊下を抜けると大浴場がある。
同温泉によれば、泉質は低張性弱アルカリ性高温泉という分類。神経痛、関節痛、筋肉痛、五十肩、慢性消化器通、冷え性、打身、くじき、関節のこわばり、運動まひ、疲労回復などに効能があるそうだ。湯船も色々な種類があり楽しめる雰囲気。順に入ってみよう。
まず内湯の浴槽が広くて深い! 水深が腰あたりまであため、多くの年配の方が歩行浴していた。打たせ湯は上から流れる水流が各1本ではなく、両肩同時に打たせられるように2本セットになっている。
入浴後は休憩場所で一休みできる。食堂もあるが、特に印象深かったのがゲームコーナー。スペースがかなり広めに割かれているのだが閑散としていて寂しい。今は遠き昭和を否が応でも感じさせてくれる。湯上がりの一杯は、コーヒー牛乳も選べるし懐かしの森永マミー(紙パックではなく瓶)も買える。
料金は日帰り入浴の場合750円。しかし、最も客が入るであろう午後4時以降は550円に値下げされる心意気。
(加藤亨延)