――そもそも、古墳に興味をもったきっかけは何ですか?
「6年ぐらい前に、深夜に放送されていたアニメ『古墳ギャルのコフィー』を観たのがきっかけですね。コフィーが可愛いっていうのもあったけど、観ていくうちに古墳用語が気になって、色々と調べていくうちに本物の古墳を観たくなり、一人でどんどん観に行くようになりました。学生の頃は古墳っていうと堅苦しいイメージでとっつきにくかったのに、コフィーを観た途端にイメージが一転しましたね」
まりこふんさんが観に行った古墳はわずか6年で、100を超えるという。
――初めて行った古墳は?
「すごくベタですけど、仁徳天皇陵です。あのカギの形をしているところが可愛いと思って。
――「麗しの仁徳綾」って! ……どんな内容ですか?
「『どこから見ても、あなたが見えない。こんなに近くにいるのに。あなたに会いたくてここまで来たのに、どんなに頑張って歩道橋に行ってもあなたは見えないよ。あぁ、近くに歩道橋があればいいのに…』という内容なんです」
――あぁ、確かに切ない……
「ブルース調なんで、より物悲しいっていうのもあるんですけどね。こういった感じで古墳にまつわる曲を作ってて、今のところ持ち曲は7曲です。古墳に対する思いが強ければ強いほど、詞がどんどん出てきますね」
――ずっと古墳に片想いをしている感じですね……。
「でも中には嬉しい古墳もありますよ。仁徳天皇陵のように、宮内庁の管轄だと管理が厳しくて中には入れないのに、奈良県の箸墓古墳(はしはかこふん)は、宮内庁の管轄なのにすぐそばを歩けるんです。見てください、ココ!(※写真参照)」
――!?
「ココの部分が古墳ファンにとっては、非常にアツいスポットで、このくびれの部分が歩けるんです!!くびれを感じながら歩けるところが、ファンにとってはたまらないんです」
●日本には「野生古墳」が大量にある!
古墳の話で、すっかり興奮しているまりこふんさんに、どんな古墳が好きなのか聞いてみた。
「大きな古墳も好きけど、私がとりわけ好きなのは、“野生古墳“ですね。
野生古墳といっても、自治体によって作られた木札や案内板は立っているため「古墳」という認識はされているそうだ。
「私のような古墳好きは、憧れの古墳に“逢いに”行くため、地図を片手にどこにでも行くのですが、実際は、地元の人にさえ知られていないものが多いですね。千葉に行った時も、おばあちゃんが畑で農作業をしていたので『このへんに古墳があるはずなんですけど』って聞いたら『知らない』って言われたけど、よく探したらその畑のすぐ裏にあったりとか(笑)」
地元の人にも知られていないような古墳は、まりこふんさんにとっては心配の種であって「この古墳は、この先、ちゃんと残ることができるんだろうか?」と、他人事ならぬ“古墳事”の不安がよぎるそうだ。素晴らしき古墳愛。
一方、地域によっては古墳を大事に守って、町おこしに役立てようとしているところもあるとのこと。
「例えば、兵庫県姫路市にある見野古墳群は、古墳を歩いて鑑賞できるようにパンフレットを作ったり、『古墳まつり』を開催したりして古墳をアピールしています。福岡県京都(みやこ)郡みやこ町も、綾塚古墳や橘塚古墳などの古墳が多く存在していて(※写真参照)、町が主催している「古墳フォーラム」には全国の古墳ファンが集まります」
――古墳だけに、盛り上がっているわけですね。先ほど、古墳の形が可愛いという話がありましたが、その他の古墳の魅力を教えてください。
「古墳は、学者の間でも分からないことが多いです。
●古墳初心者へのアドバイス
――古墳の魅力がかなり伝わってきたところで、これから古墳巡りをしようと思ってい
る人へのアドバイスを
「下調べはしすぎない方がいいです。調べすぎると、古墳を目にした時の感動が薄れちゃいますね。着いてから、案内板に書かれてある解説をじっくり読んだ方が面白いです。あとは、車で行かずに徒歩か電動のレンタサイクルを使いましょう。その土地の雰囲気を味わいながら古墳に向かうのが良いです。古墳にはそこに住んでいる人々の思いが強く残っているため、それを感じながら行きましょう。まさに『古墳アドベンチャー』です。車でスーーッと行ってしまったらもったいない。私が奈良県の明日香村にある石舞台古墳(※写真参照)に行った時も、途中で道に迷ったり、ものすごい崖があったり、坂が多くて体力を奪われたりして、それを乗り越えて、やっとの思いで古墳に巡り逢えたら、古墳が輝いて見えるんです。それほど、私にとって古墳は憧れの存在なんです!」
ちなみに、まりこふんさんは同じく古墳ファンの宮本浩次さん(エレファントカシマシ)と古墳の話をするのが夢なのだという。実は関東には古墳が多く、千葉県の古墳の数は全国2位。
まりこふんのブログ
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仏像マニアの宮澤やすみさんと結成した仏墳ユニット「石舞台」でも活躍中。
※12月8日の土曜日に、世田谷区経堂2丁目にある「お湯かふぇ さばの湯」にて、古事記好きのイラストレーター、ヨザワマイさんと古墳と古事記への愛を語る「古事記×古墳ナイト」を開催。古墳と古事記ファンの方はぜひ。