観光地を持ち前のユルさでPRする「ご当地ゆるキャラ」。滋賀県のひこにゃんや熊本県のくまモンは、ご当地のみならず全国のファンから愛される存在となっている。


その一方で、これらのゆるキャラたちを駆逐する勢いで急速に盛り上がっているのが「ご当地萌えキャラ」である。足利市の有志が生み出した萌えキャラ「足利ひめたま」や、福島県白河市の物産協会による「小峰シロ」などがその代表的な例。長野県諏訪市では萌えキャラ「諏訪姫」をあしらった結婚症がブレイクし、「婚姻届は諏訪で出す」といった発言がネット上をにぎわせたこともある。

しかし、これは筆者の偏見かもしれないが、「萌えキャラ」と聞くというと若干オタクっぽいイメージもあり、敬遠してしまう人もいるのでは、という気もする。老若男女から支持を受けやすい「ゆるキャラ」ではなく、あえて萌えキャラをご当地キャラとして採用する理由は、どこにあるのだろうか?

京都市の出町柳にある出町商店街では、1年前から萌えキャラ「加茂川マコト」をご当地キャラとしたPRを行っている。加茂川マコトは、ピンクのハッピにデニムのショートパンツを身にまとい、「酢でしめたろか!」を決めゼリフとする活発な少女。商店街には彼女の等身大パネルが置いてあったり、店舗のオススメ商品に彼女のポップが貼られていたりなど、 商店街の盛り上げに一役買っているようだ。

加茂川マコトを商店街のご当地キャラに採用することになった背景について、商店街の人に聞いてみたところ、こんな答えが返ってきた。

「もともと商店街には『恵比寿さまっぽい出で立ちをした少年キャラ』などのキャラクターがいたんですが、『ちょっと華やかさが足りないような……』といった意見もあり、また、若い人にも商店街に来てもらえるような取り組みをしたいという思いがありました」。そんな状況の中、加茂川マコトは、萌えキャラによって地域活性化を図る「ことまきプロジェクト」の提案で誕生したのだそうだ。

加茂川マコトがキャラクターに採用される際、商店街の人々には受け入れてもらえたのだろうか? これに対しては「抵抗はなかったですね。むしろ、街が明るくなるし商店街のイメージアップにもなり、いいなあと思いました」という答えが返ってきた。
商店街はむしろ歓迎ムードであり、萌えキャラに対する抵抗は非常に少なかったようだ。

さらにこの加茂川マコトには、もう一つ特徴がある。それは「リアル加茂川マコト」の存在だ。昨年10月、オーディションで選ばれた芸術系の学生、白井さやかさんがそのリアル加茂川マコトであり、加茂川マコトのコスプレをしつつ、商店街を練り歩いたり、ファンと交流したりしているとのこと。いわば「コスプレ」のノリで、「2次元からキャラクターが現実世界に出てきた感」を演出し、人気を集めているようである。

実際に、この加茂川マコトの効果は大きいらしく、商店街には若者が増えて来たという意見も。「ご当地萌えキャラ」の活躍に、ひこにゃん、くまモンもうかうかしていられない。
(エクソシスト太郎)

加茂川マコトのブログ(今日も元気だ! 出町っこBLOG)
ことまきプロジェクト
編集部おすすめ