先日、フランス語に詳しい知人が、「関西弁は、フランス語に似ているのではないか」と、意味不明なことを言いだした。
最初は真に受けていなかったのだが、あまりにも熱弁をするので聞いてみたところ、フランス語特有のある発音が、関西人は得意である可能性があるらしい。
フランス語には、「鼻母音(びぼいん)」といって、Nの文字をはっきりと発音せずに、鼻から息を抜いて、鼻にかけるような発音がある。日本語にはない発音であるため、「名詞に性別がある」と並んでフランス語学習の最初の関門の一つであるそうだ。
一方で、関西弁には、「そンなンあかンやン」、「せなあかンから」とか、「~やねンかあ」など、ン(N)の発音が文章の中にたくさん存在する。そのため、ンの発音が知らないうちに自然と鼻母音っぽくなり、鼻母音をマスターしやすいのでは、というのが知人の説である。
具体例をあげてみよう。例えば、「lampe」。これはフランス語で「ランプ」という意味の単語である。インターネットの語学サイトで発音を確認したところ、フランス語未経験者の筆者には「ラープ」とか「ラウプ」のように聞こえた。いずれにしても日本語の「ランプ」とは違って、「ン」ははっきりと聞こえない。
関西弁との類似点を知るために、知り合いのネイティブ関西弁スピーカーに、「そンなンあかンやン」と言ってもらった。確かに、「ン」の発音が曖昧であり、「lampe」に通じる発音といえなくもない。
実際の真偽を確かめるべく、大阪にあるフランス語教室の講師に、この質問をぶつけてみたところ、以下のような回答を得た。
「ひとくちに鼻母音といっても、3種類の鼻母音があります。また、そのどれもが、関西弁の「ン」とは全く異なる発音であり、関西弁が話せるからといって鼻母音がマスターしやすいということは、ないと思います」。
実際、講師の方は、関東弁と関西弁の方、どちらにもフランス語を教えた経験があるそうだが、「両者で発音の上達に差があるということは、私自身は経験がないです」とのこと。
知人と盛り上がってみたのもつかの間、仮説は完全に否定されてしまったわけだが、最後に講師の方はこんなことを言っていた。
「関西に住む方は気さくで話し好きの方が多く、そういう性格的な面で、フランス人に近い、ということはあると思います。もしかしたら、性格面で近いことが、フランス語に親近感を持つ一因となることは、あるかもしれません」。
ちなみに、関西地方ではマクドナルドのことを「マック」ではなく「マクド」と呼ぶことが多いが、フランス語でも「マクド」であり、地味にこの点も共通している。
ヒョウ柄のシャツを身にまとい、カバンに飴ちゃんをしのばせながら、流暢なフランス語を話す大阪のおばちゃんが日本を席巻する、のはまだまだ先の話のようだ。
(エクソシスト太郎)
最初は真に受けていなかったのだが、あまりにも熱弁をするので聞いてみたところ、フランス語特有のある発音が、関西人は得意である可能性があるらしい。
東北弁は母音が特殊であり、フランス語に似ているというのは結構有名な話らしいのだが、関西弁も同じようにフランス語に似ているのだろうか?
フランス語には、「鼻母音(びぼいん)」といって、Nの文字をはっきりと発音せずに、鼻から息を抜いて、鼻にかけるような発音がある。日本語にはない発音であるため、「名詞に性別がある」と並んでフランス語学習の最初の関門の一つであるそうだ。
一方で、関西弁には、「そンなンあかンやン」、「せなあかンから」とか、「~やねンかあ」など、ン(N)の発音が文章の中にたくさん存在する。そのため、ンの発音が知らないうちに自然と鼻母音っぽくなり、鼻母音をマスターしやすいのでは、というのが知人の説である。
具体例をあげてみよう。例えば、「lampe」。これはフランス語で「ランプ」という意味の単語である。インターネットの語学サイトで発音を確認したところ、フランス語未経験者の筆者には「ラープ」とか「ラウプ」のように聞こえた。いずれにしても日本語の「ランプ」とは違って、「ン」ははっきりと聞こえない。
関西弁との類似点を知るために、知り合いのネイティブ関西弁スピーカーに、「そンなンあかンやン」と言ってもらった。確かに、「ン」の発音が曖昧であり、「lampe」に通じる発音といえなくもない。
実際の真偽を確かめるべく、大阪にあるフランス語教室の講師に、この質問をぶつけてみたところ、以下のような回答を得た。
「ひとくちに鼻母音といっても、3種類の鼻母音があります。また、そのどれもが、関西弁の「ン」とは全く異なる発音であり、関西弁が話せるからといって鼻母音がマスターしやすいということは、ないと思います」。
実際、講師の方は、関東弁と関西弁の方、どちらにもフランス語を教えた経験があるそうだが、「両者で発音の上達に差があるということは、私自身は経験がないです」とのこと。
知人と盛り上がってみたのもつかの間、仮説は完全に否定されてしまったわけだが、最後に講師の方はこんなことを言っていた。
「関西に住む方は気さくで話し好きの方が多く、そういう性格的な面で、フランス人に近い、ということはあると思います。もしかしたら、性格面で近いことが、フランス語に親近感を持つ一因となることは、あるかもしれません」。
ちなみに、関西地方ではマクドナルドのことを「マック」ではなく「マクド」と呼ぶことが多いが、フランス語でも「マクド」であり、地味にこの点も共通している。
ヒョウ柄のシャツを身にまとい、カバンに飴ちゃんをしのばせながら、流暢なフランス語を話す大阪のおばちゃんが日本を席巻する、のはまだまだ先の話のようだ。
(エクソシスト太郎)
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