表題曲の「君の名は希望」のMVは、映画監督の山下敦弘の手になるもので、メンバーたちが映画のオーディションに挑む光景を収めている。YouTubeでは6分ほどのショートバージョンのほか、約25分におよぶ本編を約20分に短縮したバージョンが視聴可能だ。
オーディションは、乃木坂46のメンバーたちが、山下監督の代表作のひとつ「リンダ リンダ リンダ」の台本をもとに演技をしたり(同じセリフなのに、メンバーによって演じ方が全然違うのが面白い)、キャラクターや状況設定だけ与えられてアドリブで演じてみたり、映画というよりも演劇のワークショップのよう。後半では、“突然、学校のグラウンドに生えた一本の木の根元に、一人の青年が倒れている”という設定から、16人のメンバーが俳優たちとともに即興劇を展開していく。当初は戸惑っていた彼女たちだが、しだいに力を合わせ、物語をつくりあげていくさまには、思わず見入ってしまう。
「シャキイズム」のMVもなかなか斬新だ。ハウス食品の「メガシャキガム」のCMソングでもある同曲は、突然男の子から告白された女の子の気持ちを歌ったもの。しかしMVではありきたりな学園風景などではなく、教室が男女別々に分断され、カメラで終始監視されているという、サイバーパンクというかディストピアSF的な設定となっている。そのなかで、男子生徒に扮したメンバーが女子生徒に対し、センサーを潜り抜るなど決死の覚悟で告白しようとするのだが……。それにしても、この歌詞から、よくこんな映像を発想したものだと驚かされる。助演で、嶋田久作が登場するのも絶妙のキャスティングだ(きっと、これを考えた人は、東京グランギニョルのファンだったに違いない!?)。
乃木坂46にかぎらず、ここ最近、AKB48やももいろクローバーZなど、アイドルのミュージックビデオにはかなり凝ったものが目立つようになった。