友人はカバンの中にパスポートや貴重品、現金等を全て入れていたが身の危険を感じて所持品を諦め、うまくカバンを体から離すことができたので幸い軽症で済んだ。
タイの警官によると昼夜問わずこの手の事件が起こっていて、防ぎようがないという。結果論になるが、旅行中はリュックやカバンを肩にかけるのは危険だからと、タスキがけでカバンを持つ旅行者をよく見かけるが、引きずられ体から荷物が離れない場合は、ナイフを出してくることがあるというので注意が必要だ。
事件後、警察署で盗難・紛失証明書を発行してもらい、クレジットカード・携帯の停止処理、パスポートの再発行などの手続きに追われた。旅行中、「ここは日本じゃない」と気を引き締めていても、ふとしたときに事件は起こる。とにかく多額の現金、貴重品は持ち歩かず、ホテルのセイフティボックスに預けるのが原則だが、ホテルの安全対策に疑問があるなら全てを携帯しなければならない。そういう場合は、服の中に吊り下げるタイプの袋に貴重品を入れ(その袋が強引に奪われることもあるそうだ)、身につける財布には1日に使用する最小限のお金を入れるなど対策が必要だ。国によって治安や犯罪発生状況が違うが、もはや100%安全な方法はないのが実情だ。
パスポートを盗難・紛失した時、帰国に必要となる「帰国のための渡航書」発行には、パスポートナンバー等が必要となるので、パスポートのコピーは別に保管しよう。ほかにも、クレジットカード2枚持参する場合は分けて持ち歩く、カード番号・連絡先は別に控える、必ず保険に入る、外国にいるという意識を持つことが大事だ。犯罪にあっても抵抗せず、生命の安全を第一に考え行動しよう。
外務省の「海外安全虎の巻」によると、まずは渡航先の治安状況を知ることが大事だという。実は、後で旅行先の日本大使館のホームページや外務省「海外安全ホームページ」を確認すると、タイでバイク盗難が流行っているという事例も、昨年、私がイギリスで騙された「偽警官詐欺」のことも注意事項に記載されていた…。恥ずかしい話だが「海外旅行は慣れてるし、私は騙されない。大丈夫!」と自信満々だった当時の私。私と友人の被害を反面教師にして、十分、注意してほしい。
また、今回の旅行で感じたが「危険なエリアじゃない」「人通りがあるから」という油断は禁物。日本人旅行者が多額の現金を携行していることは知られており、日本人を標的にした詐欺事件や恐喝事件等が増加しているという。「自分は大丈夫だ」という意識は捨てて、渡航先の治安情報や犯罪の傾向は事前に情報収集しておこう。旅行する国や治安、外出先、滞在先ホテル、目的などによって安全対策は変わるが、犯罪者は一枚も二枚も上手だということを心に留め、安全で楽しい旅になりますように!
(山下敦子)