――ズバリお聞きしますが、どのようにすれば、うまくコミュ二ケーションがとれるようになりますか?
「話が上手な人を目指すよりも、まずは相手に『この人とは話しやすそうだ』と思ってもらえるような雰囲気作りをしてみましょう。自分がうまく話さなければいけないと思うと、慌ててしまって挫折してしまいがちです。相手の話を聴く姿勢をもつことで、会話はどんどん豊かになっていきます」
自分のことばかりを話そうとしてしまうと、相手は「私のことには関心がないのか」と思ってしまう可能性がある。逆に、相手の話を気持ちよく聞くと、聞いてくれたことに対して信頼関係が生まれてくるとのこと。
「あとは、口角を上げて笑顔になることです。笑顔には『返報性』があって、相手が笑えばこちらも笑うという心理が働きます。だだ、自分は微笑んでいるつもりでも、まわりの人から見ると顔が引きつっていることがありますので、気をつける必要があります。鏡に自分の顔を映して、楽しいことを思い出しながら口角の上がり具合や位置を確認してみましょう。その時に目の表情の優しさを覚えると良いです」
日頃の習慣にしておくと、イザという時に思い通りの表情が生まれるようになるとのことだ。
●「聞く」「聴く」「訊く」の違い
さらに、コミュニケーションを豊かにするには、「聞く」「聴く」「訊く」の違いを理解して会話すると良いという。
「『聞く』(hear)は、門の中に耳の字が入っています。
頭では分かっていても、ついつい相手が喋っている途中で口を挟んでしまうこともあるかもしれない。
「相手が話し終わるまで我慢しましょう。日本語は最後に結論がくることが多いので、途中で口を挟んでしまうと正しい意味を把握できなくなる場合があるし、自分の話は聴きたくないのだろうかと思われかねませんから」
●小心者にとっては恐怖!披露宴やパーティーでの緊張克服法
相手が少人数ならコミュニケーションができそうな気がしてきた。問題は大勢の人がいる前で喋る場合だ。
――もうすぐジューンブライドの季節ですが、披露宴などのパーティーなど、大勢がいる場でスピーチをする時は、どうしたらいいですか?
「マイクの前に立ったら、まずは会場を見渡します。
マイクがあると、マイクに向かって喋るだけで会場中に聞こえていると思いがちだが、これが落とし穴なのだそうだ。
「マイクに乗る声と乗らない声がありまして、マイクがあっても、4~5m先の人に声を出すような意識で喋ると、声のトーンが高くなって会場全体に聞こえるようになります。大きな声を出すことと、トーンを高めに声を出すことは違います。声のトーンを高めにすると、大きな声を出さなくても、通りやすい声になります」
そのほか、喋っている時は、会場のお客さんを、「8」の字を書くようにまんべんなく眺めると、お客さんは自分を見て喋ってくれているように思えてくるため、自然と司会者の言葉に耳を傾けてくれるという。
●困ったら深呼吸を
後藤さんは仕事柄、千人を超えるお客さんの前で話す機会があるという。そういう時はどうしているのかというと・・・
「ステージに出て行って、いきなり大勢のお客さんに向かって『みなさん、こんにちはーー!』とテンションを上げて言わないといけない時があります。その際は本番直前に何度も深呼吸をします。すると、自然にゆったりした気持ちになるんです。喋り始める時は、ゆったりと喋るように心がけています」
後藤さんのコミュニケーション術を伺いながら、「つくづくプロフェッショナルだなぁ~」と感心しきり。
「きょうの料理」では、物腰の柔らかい口調でお喋りをしつつ、進行の役割はキッチリ果たす後藤さん。
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後藤アナウンサーが笑顔でお待ちしております。
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(月)~(木)午後9:00~9:25(Eテレ)
再放送 (火)~(木)・翌(月)午前11:00~11:25(Eテレ)、午前10:15~10:40(総合・金)
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