『むいておろして』(アーネスト)というちょっと変わったネーミングのピーラー。変わっているのは名前だけではない。なんとピーラーとおろし金が合体した製品なのである。むいた後すぐ、ハンドルを反対側に持ち替えるだけでピーラーがおろし金になる。これは便利かも。さて、肝心のピーラー刃だが、スプーン状になっているため、包丁でむきにくいデコボコしたコブ部分も削り取るように素早くむけるそうだ。
このユニークな製品の開発の経緯についてアーネストに聞いてみた。
「生姜に関連した調理、レシピや生姜をすりおろすスプーン、カップなどの製品が注目されています。その理由として、生姜は冷え性、風邪、胃腸等の体調不良に良いほか、ダイエットにも良いとテレビや雑誌で広まったためです。さらに調べてみると、漢方では新鮮な根茎を生姜(しょうきょう)と言い、薬にも用いられているそうです」
「このような健康に役立つ生姜の調理器を是非つくりたかったのです。そこで、生姜の皮のむき難さに着目しました。包丁ではうまくむけないので、手近のスプーンでむいているという方もいましたが、そのスプーンよりはむきやすく、さらに“おろす”機能を加えたら、生姜の調理のやる気を一層高めるのではと考えました」
同製品のおろし金は従来品に比べ小型だが、これについても理由がある。
「ニンニク、チーズ等をスパイスとして少しだけ調理中に使う時や、大根・わさびを一人分おろしたい時などはふつうの大きさのおろし金だと大きすぎ、出すのも億劫と思いました。
“ちょっとだけおろす”だけの器具はたしかにいいアイディアかも。ちなみに使用のときは手でもって浮かした状態でもうまくおろせるのか。
生姜以外の繊維質でない食材は手で持ったままでもおろせますが、生姜は繊維質のため、ほかの食材に比べてすりおろしにくい(本目立てなので樹脂製おろし等と比べると力は要らないが)かもしれないので、先端をつけておろした方が安定します」
さて、スプーン状のピーラー刃に戻ろう。ふつうのスプーンや包丁に比べて切れ味、使いやすさはどうなのか。
「まず通常のスプーンですが、何とかむけましたが、厚みがあるために少し力が必要で、持つ柄部分が細いため持ちにくく手が疲れるという感想でした。
で、たまたま開発中に生姜専用ピーラーがある海外メーカーから発売されたので、早速使ってみました。鋭利ではない安全な刃を採用したもので、エラストマーという滑りにくい素材のグリップで持ちやすく、手が疲れにくいものでした。実はこの形状を参考にしました。
包丁との比較ですが、包丁はたしかに切れ味は良いですが、ひとつひとつ形の異なるデコボコの生姜はよほどの腕前でないと皮と一緒に食べられる実の箇所もかなり切り落としてしまいます」
ということで、生姜好きで、生姜をうまくむきたい人は、このように道具を工夫することをお勧めする。
(羽石竜示)