そもそも漢方って、何のために飲むのだろうか? ウェブサイト「漢方ドットコム」などを運営するNPO法人 国際健康研究会理事の樋口倫也さんに話を聞くと、意外な事実を教えてくれた。
「日本では体質改善や健康維持のために飲む人が多いと思いますが、もともと漢方は4,000年もの歴史を持つ中国伝統医学。20年ほど前からは、がん治療にも使われているんですよ」
がんの三大療法といえば、手術・抗がん剤・放射線。それらに比べると、漢方はなんだか科学的根拠に乏しそうだけど?
「そう思われがちなのですが、世界的に最もよく知られている抗がん漢方薬『天仙液』などは、かなり研究が進んでいます。2011年には、国立台湾大学医学院で転移性乳がん患者に対する臨床試験がおこなわれ、実に80%の人への抗がん効果が実証されました」(世界で進む抗がん漢方の臨床研究はこちらから)
台湾大学といえば、日本でいうところの東京大学。現地で大きなニュースになったというのもうなずける。
すでにオーストラリアや香港、タイなど、「天仙液」が医薬品として認定されている国もある。
「日本ではまだ医薬品として許認可を受けていません。利用者は年々増えていますが、多くはないですね。抗がん漢方に限らず、西洋医学ではない、いわゆる代替医療に対する取り組みは諸外国に比べてかなり遅れているといえるでしょう」
アメリカでは3人に2人が何らかの代替医療を利用しているというデータもあるそうだ。
「天仙液」は、冬虫夏草や霊芝といったさまざまな生薬(薬草)を配合した抗がん漢方薬で、免疫調整作用や抗酸化作用などが複合的にがん細胞に働きかけるといわれている。試しに1本飲ませてもらったところ、ドロリと濃厚ながらほんのり甘みもあり、飲みやすさにビックリ。
今はネットなどに情報があふれる情報過多の時代。健康にまつわる情報も玉石混交であり、がんや生活習慣病に苦しみながらも、何を信じたらよいかわからないという声も多い。
樋口さんが理事を務める国際健康研究会は、そんな人たちのために世界中の健康に関する最新情報を発信する目的で今年2月に発足。実は樋口さん自身、職場の後輩が23歳という若さでがんと闘う姿を見たことがあり、それが漢方や代替医療などの正しい情報を発信したいという思いの元になっているそうだ。
「もちろん、西洋医学を否定しているわけではありません。実際、西洋医学と抗がん漢方を併用している方も多く、漢方が抗がん剤の副作用の軽減につながったという話も聞きます」
今後は医者や学者など専門家を招いた講演会やセミナーも積極的におこなっていくという。
東洋では古くから親しまれ、頼りにされてきた漢方。中国や香港ではお茶代わりに飲まれるほど、日常に密着した存在でもある。「がんは化学療法で」という医療界の常識もあり、治療のメインにするのは難しいかもしれないが、代替医療の1つとして考える余地は大いにあるといえそうだ。