日本の漫画、アニメはすでに文化として定着しており、世界で大ブームを起こしている。現在の30代の多くはドラゴンボール、ドラえもん、キャプテン翼、スラムダンクを読んで育ったと言う。
その人気は2013年の現在でも留まるところを知らず、ワンピース、ナルト、ブリーチと言った漫画は世界で愛されている。

親日国家で知られているベトナムでも日本の漫画はやはり人気だ。
中でも「名探偵コナン」、「ドラえもん」、「クレヨンしんちゃん」の三大コミックは若者に大人気で、誰もが知っている。

少し話はそれるが、ベトナムで漫画を取り扱っている書店はそれほど多くはない。日本のようにコミックがずらりと並んでいる書店などはまず目にしない。しかし、数少ない漫画を取り扱っている書店では、必ずこの3つの漫画は置いてある。また、道端の屋台でも新聞の隣に必ずこの3つの漫画は揃っているから驚きだ。日本と異なり所得が少ない若者にとって、漫画は重要な娯楽アイテムの1つであり、1冊100円程度というのも魅力に映っている。

ではなぜこれほどまでに人気があるのだろうか。実際ホーチミンの某大学に通う学生達に突撃インタビューをしてみた。
すると、そろいも揃って男女の学生はこう叫ぶ。「シンイチ!ハンサム!!」と。
シンイチとは「名探偵コナン」の主役であるコナンの本来の姿だ。日本でこの漫画を好きな理由を尋ねて、「新一が格好いいから読む」と言う人はどれだけいるだろうか。おそらく極めて一部分の腐女子くらいだろう。逆にストーリーを重んじているベトナム人はあまりいない。

さらに日本の国民的アニメの代表である「ドラえもん」だが、こちらはベトナムではちょっと名前が違う。ベトナムでは「Dremon」と表記されていることが多い。故に、ベトナム人は皆「ドレーモン」と呼ぶ。これは印刷ミスが原因なのか、それともベトナム語の発音の違いによるものなのか真相は闇の中だ。

ちなみに「ドラえもん」に登場するお馴染みのジャイアンが、あるシーンでのび太にこういう台詞を言ったことがある。「お前のものは俺のもの。俺のものは俺のもの」。この台詞はベトナム人にとっては大爆笑の種だったそうだ。
また、ドラえもんの人気は漫画のみに留まらず、ドラえもんの顔がプリントされている筆記用具やバッグ、洋服といったアイテムも非常に人気がある。

最後に「クレヨンしんちゃん」だが、こちらは日本でもギャグアニメとして子ども達の人気の的になっているが、ベトナムでは20代30代の大人世代も幅広くウケているようだ。
その背景としては、ベトナム人は笑いをこよなく愛し、ディズニーやピクサー映画といった子ども向けのアニメでさえ、大人も爆笑する。日本人から言わせれば、「笑いの沸点が異常に低い」のだ。そのため、クレヨンしんちゃんを見ようならば、終始爆笑の渦が起こることは必至だ。

ベトナムでもこれらはアニメとなって家庭のテレビで放送されてはいるが、それよりも圧倒的にコミック読者が多い傾向にある。バス停のベンチやカフェでくつろぎながら日本の漫画を読み耽っているのは日常であり、日本人からするとちょっぴり嬉しくなる光景であることは間違いないだろう。
(古川悠紀)
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