新幹線や飛行機に乗る前に、駅や空港内の本屋で雑誌や文庫本を購入するという人はけっこう多いだろう。
だが、以前からちょっと気になっていたのは、そうした駅や空港の本屋に、官能小説、いわゆる「エロ小説」がけっこう豊富に売られていること。
新幹線や飛行機の中で、エロ小説を読むのだろうか。人目があるところで読むスリルが、むしろ良いということなのだろうか。あるいは、旅先のホテルなどで一息ついたときに読むのだろうか。そもそも官能小説って、駅や空港で売れているの? 官能小説の編集者に聞いた。
「官能小説は空港や駅ではけっこう売れています。車内でエロ動画を見るわけにはいかないですし、あまり頭を使わずに読めるし。だいたい2時間もあれば読めるので、片道の移動でちょうどいい感じなのではないかと思いますよ」
「活字離れ」が嘆かれ、出版不況がますます深刻化している時代。エロも動画が主流なのかと思ったが、活字でエロを楽しむ層も健在なのか。
「活字離れの時代に官能小説が残っているのは、エロが妄想の賜物であるからだと思います。グラビアや動画だと、出演者を他の女性に重ねるのは難しいですが、文字であれば、自分の好きな女性を重ねることができる。身近な女性をヒロインに重ね合わせて楽しめるわけです。あるいは理想の女性像を作り上げて楽しむこともできる。
実は、官能小説では、ヒロインの容姿を表現するために、有名人の名前を出すことを避けるケースが多いそうだが、その理由には、イメージが限定されてしまうことで、「妄想」の妨げになることなどがあるそうだ。
「エロの妄想を掻きたてるには、活字は相性が良いですが、とはいっても、やっぱり小説が以前よりも売れなくなっているのは間違いないです。官能小説もやはり同じで、いま、官能小説を買っているのはほとんど40代以上じゃないかと思います。妄想力って規制があればあるほど広がるから、情報過多な今の若い世代には、あまり身についてないんじゃないか、とも思います」
誰もが通る道というわけではなく、新しい世代に受け継がれず、中高年の間で生き続けている「官能小説」というジャンル。小説界の「演歌」みたいな存在になっているんでしょうか。
(田幸和歌子)
だが、以前からちょっと気になっていたのは、そうした駅や空港の本屋に、官能小説、いわゆる「エロ小説」がけっこう豊富に売られていること。
新幹線や飛行機の中で、エロ小説を読むのだろうか。人目があるところで読むスリルが、むしろ良いということなのだろうか。あるいは、旅先のホテルなどで一息ついたときに読むのだろうか。そもそも官能小説って、駅や空港で売れているの? 官能小説の編集者に聞いた。
「官能小説は空港や駅ではけっこう売れています。車内でエロ動画を見るわけにはいかないですし、あまり頭を使わずに読めるし。だいたい2時間もあれば読めるので、片道の移動でちょうどいい感じなのではないかと思いますよ」
「活字離れ」が嘆かれ、出版不況がますます深刻化している時代。エロも動画が主流なのかと思ったが、活字でエロを楽しむ層も健在なのか。
「活字離れの時代に官能小説が残っているのは、エロが妄想の賜物であるからだと思います。グラビアや動画だと、出演者を他の女性に重ねるのは難しいですが、文字であれば、自分の好きな女性を重ねることができる。身近な女性をヒロインに重ね合わせて楽しめるわけです。あるいは理想の女性像を作り上げて楽しむこともできる。
エロは妄想を膨らませることで、無限に飽きることなく広がっていくんですよ」
実は、官能小説では、ヒロインの容姿を表現するために、有名人の名前を出すことを避けるケースが多いそうだが、その理由には、イメージが限定されてしまうことで、「妄想」の妨げになることなどがあるそうだ。
「エロの妄想を掻きたてるには、活字は相性が良いですが、とはいっても、やっぱり小説が以前よりも売れなくなっているのは間違いないです。官能小説もやはり同じで、いま、官能小説を買っているのはほとんど40代以上じゃないかと思います。妄想力って規制があればあるほど広がるから、情報過多な今の若い世代には、あまり身についてないんじゃないか、とも思います」
誰もが通る道というわけではなく、新しい世代に受け継がれず、中高年の間で生き続けている「官能小説」というジャンル。小説界の「演歌」みたいな存在になっているんでしょうか。
(田幸和歌子)
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