日本語を知らない海外の人が、ナンセンスな日本語の書かれたTシャツを着ていたり、知らずに着ていたTシャツの英語が、実はとんでもない意味だったり。そうしたユーモアはどこの国でもあるものだが、お隣韓国のブロガーの間で、ある人たちの服に書かれていた韓国語に話題が集まっている。


話題の写真は、日本のグラビアアイドル・あがりえひかりさんのDVD「日本一のぴちぴち乙女」(グラッソ、2011年)のワンシーン。青いワンピースにはハングルが大胆にデザインされているが、その言葉を訳すと「新興湖南郷友会」となる。「新興」地域にある「湖南」地域出身の人が集まる「郷友会」、日本で例えるなら「渋谷区鳥取県民会」といったところだろう。

あがりえさんがこの、渋そうな会の会員であるはずはない。この一件だけならちょっとしたユーモアに過ぎなかったが、ある出来事が「新興湖南郷友会」に対する謎を、さらに深めることになった。何と、同じ言葉の書かれた服を、米国有名歌手のブリトニー・スピアーズさんも着ていたことがあるというのだ。


ブリトニーさんの衣装が話題にあがったのは2003年のこと。オーストラリアに住むファンが路上で撮ったとされる写真には、ブリトニーさんの着ている緑のワンピースに、同じフォントと思われる文字で「新興湖南郷友会」の文字が書かれている(リンクを参照のこと)。

「ブリトニースピアーズ  新興湖南郷友会 」google 画像検索結果

まさかブリトニーさんも、この会の会員であるはずはないだろう。新興湖南郷友会は、一体どのようなルートをもって、世界にその名をアピールし続けているのか?

この話題を紹介した、『週間京郷』。1042号「新興湖南郷友会のミステリー」(2013年9月10日)という記事によると、ブロガーの間ではずっと、ブリトニーさんの服はドルチェ&ガッパーナのセカンドライン(当時)D&Gのものであり、D&Gのデザイナーがワールドカップで韓国を訪れ、その文字の入ったファブリックを手に入れたことが発端だと知られていたそう。

しかし記者が、韓国で同ブランドのマネージングを担当する会社に質問したところ、「ドルチェ&ガッパーナのデザイナーは2011年に初めて韓国を訪れており、2002年のワールドカップの時には韓国を訪れていない」「写真のブリトニー・スピアーズが着ている服も、ドルチェ&ガッパーナやD&Gの服ではないようだ」と答えたという。


では、あがりえさんの衣装はどこからやって来たのだろう? そこで筆者はあがりえさんのマネージメントを行う株式会社サワーズに連絡をとり、担当スタイリストの佐賀愛衣さんにコメントをいただいた。

どこのブランドのものかという質問に対し、「あの衣装は、原宿や渋谷で買ったTシャツとワンピースをリメイクして作ったものです。ブランド名などは忘れてしまいました。なので、特に意味は全くありません」。

ブランド名を確定することはできなかったが、いずれにせよ、「新興湖南郷友会」の文字が入ったワンピースが、多かれ少なかれ原宿や新宿に出回っていたことは確実だ。
もしや新興湖南郷友会は、知らぬ間に日本のアパレル業界にも根回しをしていたのかも?

ちなみにあがりえさんは現在、偶然にも韓国で長期留学を行っているということだ。

「あがりえの留学につきましては、海外に生活に憧れがあり、異文化に触れてみたかったから、と聞いています。留学中は、大学とカフェでのバイトに明け暮れ、遊びに行ってる暇はないようです」とサワーズの大沢さん。

DVDを撮影していた2011年当時も、あがりえさんは韓国旅行や短期留学を繰り返しており、韓国語の勉強もしていたという。「服については、変わったデザインで気に入っていたと思います。もちろん書いてあるハングルも読んでいたと思います」。

新興湖南郷友会がどのような手段で世界進出を進めているのかは謎のままだが、日本でもその文字の入った服を持っている人が、少なからずいる可能制は高い。
心当たりのある方、ぜひとも名乗りを上げ、入手経路を発表していただきたい。
(清水2000)