不動の人気を誇る『のり弁』。大手チェーン『ほっともっと』の人気ランキングでは常に上位に入っているという。
そんな中、さまざまなのり弁を紹介した『のり弁大捜査線』(竹田あきら著:版元ひとり)が発行された。そういえば、のり弁についてじっくりと考えたことはなかったなぁ~と思いつつ、色々なのり弁を食べた竹田さんにお話を伺った。

●のり弁のココが素晴らしい!

まずは、のり弁の素晴らしさを再確認すべく、竹田さんに挙げていただいた。
・例えば『ほっかほっか亭』ののり弁当は290円といった感じで、安い!
・おまけに、美味しくてカロリーもとれて、コストパフォーマンスが良い!
・会議や友達同士の集まりなどで、何か弁当を注文したいと思った時に、幕の内弁当だと高めだけど、のり弁なら文句が出ない!

竹田さん曰く「子どもがお子さまランチを食べると喜びますが、のり弁はいわば『大人のお子さまランチ』と言っても過言ではないでしょう!」

●『のり弁』と『のり弁当』の違い

のり弁の素晴らしさは分かったが、竹田さんは、なぜ、食べるだけでなく、『のり弁大捜査線』を発行しようと思ったのだろう?
「ある日、のり弁当について考えていて、『ご飯に海苔が乗っていればのり弁なのか』という疑問が生じたことから始まったんです。例えば、からあげが10個入っている弁当のご飯に海苔が敷いてあったら、それは『のり弁』といえるのか?『からあげ弁当』のご飯に海苔が敷いてあるだけのことではなのか?のり弁って、漠然としたイメージはあっても、『これがのり弁だ』という定義がありません。そこで、いろんなのり弁を食べ比べることで、『のり弁とは何か?』が見えてくるんじゃないかと思いまして・・・」
――なるほど!
「『のり弁』とは何かという疑問に立ち向かった結果が、この本に書かれてあるわけです!タイトルに『大捜査線』をつけたのも、食べて『捜査』するからなのです!」

アツい!
なんとアツいのだろう!
のり弁について、これだけアツく語っている人を見たことがない。


竹田さんによると、一言に『のり弁』といっても、『のり弁』と『のり弁当』とでは少々ニュアンスが変わってくるという。
『のり弁』は、おかずと海苔(&ご飯)が分かれていないもの。ご飯の上におかずが乗っている形式。
『のり弁当』は、おかずと海苔(&ご飯)が分かれているもの・・・という分け方だ。

●のり弁における『おかず三銃士』はコレだ!

――のり弁(のり弁当含む)に共通して入っているおかずには何がありますか?
「きんぴらごぼう、白身魚のフライ、ちくわの天ぷらです。この3品は、のり弁には絶対といっていいほど入っていて欠かせないおかずなので、『おかず三銃士』と呼んでます」

海苔、ちくわ、白身魚など、海のものを中心として構成されている場合が多い。

「おそらく、それが『のり弁』のあるべき姿なんだと思います」

●デパートで発見!高級のり弁当はホントに美味しかった!

『のり弁大捜査線』は、海苔やおかずについては書いてあるが、味については基本的には言及していない。ところが、あまりにも美味しくて、味を伝えたくてしょうがなかった弁当があるという。

『おいしいのり弁当』京王百貨店 新宿店で購入(987円)
※構成:塩鮭、煮物、がんもどき、卵焼き、あさりと昆布の佃煮

「一般的に、お弁当に『おいしい』と書いてあっても、必ずしも美味しいわけではないことがありますが、この弁当は本当に美味しいです!値段が高いから買う時に躊躇しましたが、海苔の下に敷き詰められた花かつおは上品な味わいですし、煮物はだしがしっかり効いていて、ほんのり甘いです!」
ところが、次の瞬間、竹田さんは複雑な表情を見せた。
「『おいしい』という表記は合ってるけど、これは『のり弁』ではありません・・・。『おかず三銃士』のきんぴらごぼうも、白身魚も、ちくわの天ぷらの姿もありません。これでは『しゃけ弁』だと思います。
『のり弁当』というからには、のりがメインであってほしい・・・」

「おいしい」という表記は合ってても、「のり弁」という表記に偽り(?)があったところが面白かったという。
「ただ、食べ終わった頃には、987円を高いと思わないほど、満足していました」

●女性も安心!『ミニのり弁』(ミニストップ:298円)について。

のり弁は、どちらかといえば男性が食べるイメージだが、おそらく、女性向けにしたのではないかと思われるのり弁が『ミニのり弁』(ミニストップ)だ。

「コストパフォーマンスがのり弁の良さだとすれば、ミニサイズにしてしまったら意味がない気がします。ところが、ミニサイズを作ることで、のり弁が好きな女性も買いやすくなるという利点が生まれるんです」
ちなみに、おかずは白身魚フライ(タルタルソースつき)、ちくわの磯辺揚げ、ハンバーグ、きんぴらごぼうなので、『のり弁おかず三銃士』はきっちりと揃っている。

●楽しい悲鳴!のり弁の「取材」で太った!

竹田さんは『のり弁大捜査線』を発行するにあたって、のり弁当を食べまくったという。

「のり弁当は元から食べてはいたけれど、本を発行するにあたって、改めて、2週間で20種類ののり弁を食べました。おかげで3kg太りました(笑)」
――ある意味、体を張ってますね!
「普通のご飯とおかずも食べたいっていう思いもあって、のり弁当は昼食と夕食の間とかに食べたこともあって、そんなことをしていたら案の定、太りました(苦笑)」
――途中で飽きなかったんですか?
「それが、連日食べてると、だんだん面白くなってきたんです。そのかわり・・・・・・試食が終わった後しばらくは、のり弁を食べる気がしませんでした(笑)」

●のり弁当の「元祖」に聞いてみたいこと。

ところで、のり弁当を開発したのは『ほっかほっか亭』だと言われている。竹田さんは、機会があれば開発者にどうしても聞いてみたいことがあるという。
「やはり、のり弁当の名前の由来を聞いてみたいです。
『白身魚弁当』でも良かったわけですし、なぜ、敢えてのり弁当にしたのかと・・・」

やはりこれは、竹田さんがこの先、のり弁当を何食食べても答えが出ないと思われる。竹田さんがこれ以上太らなくてすむように、誰か教えてあげてください。(取材/文:やきそばかおる)


●『のり弁大捜査線』の詳細はこちらで。
竹田さんが所属する『版元ひとり』公式サイト
http://hanmoto1.net/
竹田さん「今年の冬コミにも参加します!その他にも、コミックZINでも取り扱っていますので、よろしくお願いします。まだまだ面白い企画が頭の中を巡っています。楽しみにしていてくださいね!」

●ちなみに、本職のライターさんである竹田さんは「ライター」がきっかけで「ライター」の道に入ったという。

前職は喫茶店の支配人だったという竹田さん。あるとき、それまで無料で提供していたマッチが、経費削減で配れなくなってしまった。そこで、少しでも安いライターを購入して貸し出そうと思い、ネットで100円ライターを検索していると『ライター予備校』の文字が飛び込んできた。面白そうと思い、その学校に通い、喫茶店勤務を辞めてライターとして活動を始めたそうだ。
「ライターが縁でライターになったのは、運命だと思ってます(笑)」