『おもひでぽろぽろ』は、東京生まれ東京育ちの27歳OLのタエ子が、田舎に憧れて山形へ旅に出るお話だ。彼女の頭に浮かんでくるのは、なぜか「小学校五年生の自分」。
「青虫はさなぎにならなければ、蝶々にはなれない……。さなぎになんか、ちっともなりたいと思ってないのに」
「あの頃をしきりに思い出すのは、私にさなぎの季節が再びめぐって来たからなのだろうか……」
『おもひでぽろぽろ』が描くのは、「女性の成長」。それを描くために、あからさまに扱われているモチーフがある。
初潮(生理)だ。
ある日、女子だけが保健室に集められる。保健の先生が語るのは生理の仕組み。「女子だけの秘密」のはずだったのに、一人の女子・リエが男子に喋ってしまう。
「このスカートめくり全盛時代に、案の定生理は はやってしまったのだった」
それが何かもよくわからないまま、男子たちが「お前、生理だろ」「生理がうつる!」とはやしたてる。体育の時間、生理で休んでいるリエと、風邪で休んでいるタエ子。タエ子は「自分も生理だと思われるのではないか」と男子の視線を不安に思う……。
描かれているのは、「女になること」「女として見られること」への違和感と、居心地の悪さと、気持ち悪さ。
『かぐや姫の物語』も、初潮を扱っている。
初潮を迎えたかぐや姫は、成人の儀を執り行われ、貴族たちにお披露目される。このお披露目はもちろん、かぐや姫が「女になった」、つまり、結婚し子供を産めることを示し、結婚相手を探すためのもの。