車の中で音楽を聴く、それにはカーステやラジオ、最近ではiPodやスマホをFMトランスミッターでつなぐといった方法がある。がしかし、カーステは音源を持ちこむのが面倒だし、かといってラジオは好きな曲がかからない、それでもってFMトランスミッターは音質が…といった八方ふさがり。
車内スピーカーを代える程の音質は求めていないけど、やっぱりクリアな音質で好きな曲を聞きたいもんだ。それもスマートに。男たるもの、色々なシーンを音楽で演出したい時ってあるでしょう。ムーディーな時とか。あとムーディーな時とかも。あと…。


思い返せば、音楽があるドライブの歴史も変貌を遂げたな。みなさんは「8トラックカートリッジテープ」というものをご存じだろうか。ご存じの方は40代以上か相当なオーディオマニアだと思う。1970年代くらいまで主流だった「8トラ」は、分厚い文庫本くらいの大きさで磁気テープ上に録音された曲を車内の8トラオーディオプレーヤーで再生する。当時はテープがケースに保護されていないいわゆる「オープンリール式」が普及していて、それだと車には向いていないという事で開発がされた。これがカーステの走りだ。


だが、残念ながら音質は正直あまりよくなかった。この後に主流となるカセットテープも同じだけど、磁気テープって基本的にノイズが多いし、繰り返し聴いているとテープが伸びてだんだん音質が悪くなってくる。それが音楽CDの登場で事態は一変。ノイズがないクリアなサウンドが手軽に誰でも楽しめるようになって、カーオディオでじゃんじゃん聴くようになったわけ。その頃からAUX端子という外部機器を接続する端子がカーオーディオやカーナビに搭載される様になり、”機器同士を接続する”という概念が生まれ始めた。そしてiPodの登場。
音楽ファンではない層も流入し、手軽に繋げるFMトランスミッターが広まるという進歩っぷり。

手軽にDJ気分になれて楽しかったりするのだが、問題がある。肝心の音質が、電波の送受信の環境によってノイズが結構入ってしまったりする(ラジオの宿命)のだ。

これは良くない。近くにいる他の車でたまたま同じ周波数で曲をかけていると、それを受信してしまったり、逆にこちらの音楽を聴かれてしまうこともあり得る。アニソンをあえて他の車に乗っている人に聴かせてやろう、という強者でもない限りこれは避けたい。
さらに細かいことでいえば、人によってはFMラジオの周波数の設定が煩わしいかもしれない。複数の周波数を選ぶ事ができる商品が多いが、楽しいドライブの出発前に合う周波数が見つからなくてテンパるという事態にまで発展した事もある。これはもう最悪だ。ムードも何もあったもんじゃない。そうしたことをもろもろ考えると、クリアで安定したサウンドを楽しむにはFMトランスミッターからは卒業したいところだ。

そこで(ようやく)本題。
新常識になりつつある方法がスマホとカーオーディオ・カーナビとの連携だ。両者をUSB接続またはBluetoothでつなぐだけでノイズのないクリアで気持ちいいサウンドが簡単に実現する。最近はオーディオ製品の売り場に行くと一目瞭然で分かるように、ヘッドホン、スピーカー、ミニコンポなどBluetoothによるワイヤレス対応が主流になっている。もちろんUSB接続でもいいのだが、Bluetoothなら使うたびにケーブルを抜き差しする手間もなく、後部座席からでもらくらく操作できたりしてメリットは大きい。しかも最新のカーナビには、自分のスマホに入っているアプリを操作できるものも登場しているらしいから驚きだ。

BluetoothはFMトランスミッターのようにノイジーだったり、電波状況によって音質が低下することもないだけでなく、機器同士のペアリングを行うので、関係ない他の車からの電波を拾ったり、拾われたりすることもない。
カラオケアプリがスマホに入っていれば、車の中がカラオケボックスに早変わり。クリアな音質に、さらに我が美声を乗せて…。

ノイジーでかさばる8トラの時代から考えると、スマートでクリアに曲が聴ける音楽スタイルがスマホによって実現することはまさに夢のよう。あまりの快適さに、時間が経つのを忘れてたくさん聴いてしまいそうである。僕も、同乗者もきっと。
(羽石竜示)

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