2月8日から公開中の映画「地球防衛未亡人」。壇蜜祭だ。
壇蜜は、元芸者で未亡人で処女で地球防衛軍の女性・ダン隊員を演じている。
谷間を見せつつ着こなしているオレンジに黒ラインの隊員服。でもコスチュームはそれだけじゃない。元芸者なので白塗り芸者姿で踊る。未亡人なのでウェディングドレスと喪服。ほかにもセーラー服なんかもある!
監督は「いかレスラー」「日本以外全部沈没」の河崎実。Yahoo!映画のレビューは☆1と☆5しかない極端っぷりだ。

壇蜜は「週刊プレイボーイ」の連載「壇蜜のえろばかっ。」でストーリーをざっくりと説明している。

「婚約者を怪獣に踏みつぶされて、入籍直後に未亡人になってしまった私が演じる女性が、夫の仇を討つために処女のまま地球防衛軍に入るという物語ですね」

「???」と思った人は予告編を見てもらいたい。



ざっとまとめよう。

壇蜜演じるダン隊員は、怪獣ベムラスに初夜目前の婚約者を踏みつぶされた経験アリ。復讐を誓って地球防衛軍(通称JAP)に入隊、エースとなる。そこに数年ぶりにやってきたベムラス! 上陸した場所は「三角諸島」。そうこうしている間にベムラスは日本に上陸、原子力発電所を攻撃しはじめる。
ダン隊員はJAP野郎一号に乗り込んで戦いを挑むのだが、問題発生。なんとダン隊員は、ベムラスにダメージを与えるとエクスタシーを感じる変態になっていた! 喘いでいるうちに撃墜されてしまうのだった。

ベムラスの主食はなんと使用済み核燃料。ベムラスは害獣ではなくエネルギー問題を解決する救世主なのでは? 日本の首脳陣は手のひらを返し、ベムラスを有効利用する方法を考え出す。他の国も放っておかない。横やりを入れるアメリカ・中国・韓国……しかしことはそううまく運ばない。使用済み核燃料を食べ続けるベムラスにある問題が発生し…!?

原発問題や外交問題などの社会風刺を織り交ぜつつ、壇蜜に要所要所でコスチュームを着せてきて、なおかつ他の河崎作品のネタを入れ込んでみたり、まったくスキがない。
壇蜜の演技はうまいわけではない。でも、急にエクスタシーを感じだしおもむろに脱ぎだしても、「まあ壇蜜だしな……そりゃエクスタシーも覚えるし脱ぐよね……」と妙に納得してしまう。また、この作品は後半「舞踊」が大きなキーワードになってくるのだが、それも日本舞踊師範の壇蜜がやることで説得力がある。脚本が壇蜜を100%生かしている!
特撮成分は周りの俳優陣の森次晃嗣(ウルトラセブン)、沖田駿一(ウルトラマンA)、堀内正美(ウルトラマンネクサス)がカバー。怪獣のデザインもSF漫画・SFアニメを多く手がけた麻宮騎亜によるもので、ぱっと見はかっこいい(その怪獣がどんな動きをするかは本編でどうぞ)。

公開に先駆けて発売されたメイキングDVD「壇蜜in地球防衛未亡人」では、撮影の様子も見ることができる。「地球防衛未亡人」はオールアフレコ作品で、撮影自体は一週間と少し。タイトなスケジュールの中でも、壇蜜はとても感じがいい。自分に求められていることをしっかり理解し、真剣に全力でやっているところが見てとれる。炎天下の特撮撮影で、熱中症になってもがんばって喘いでいるのを見ると、どんどん壇蜜を好きになってしまう……。

ちょっと自虐するシーンもある。ウエディングドレスの撮影時、「この衣装はレンタルじゃなくて買ったんだよ」と言われて嬉しそうな壇蜜。「いくらですか?」「ネットオークションで5000円。結婚がダメになった人がヤケクソでオークションに出してるやつ」「ワケアリじゃないですか!」ガックリと肩を落とす。
「人生初のウエディングドレスが、中古で5000円……でも、そういう人生もありますよね」

さまざまな壇蜜を楽しめる本作。中でも私が一番好きな壇蜜は「酔ってクダを巻く壇蜜」。壇蜜が酔っぱらっていた店は中野の「マグロマート ハンチカ」だ。このお店、マグロがめっちゃおいしい。加えて、『醤油手帖』の杉村啓さんも一目おいているほど醤油が充実している。聖地巡礼もオススメです。
(青柳美帆子)