――日本舞踊には、どんな種類の踊りがありますか?
「日本舞踊」には、歌舞伎から発生した「歌舞伎舞踊」と言われる演目と、日本舞踊独自の演目があります。上演方法も、歌舞伎同様に衣裳・かつらをつけて演じる方法と、「素踊り」と呼ばれる特定の役柄を表す扮装をしないで踊る上演方法があります。日本舞踊独自の演目で衣裳・かつらをつける場合もありますし、「歌舞伎舞踊」の演目を「素踊り」で上演することもあります。
――身体の動かし方はどう違いますか?
西洋の舞台芸術は、例えばバレエは上へ身体を引き上げるのが基本ですが、日本舞踊は重心を下へ置くのが基本です。バレエのような独特の練習方法があるのかと問われることもありますが、日本舞踊の所作は、着物を着た日本人が日常で伝統的におこなってきた動きなので、特別なトレーニングで鍛えて、その所作を作ることはしません。
また、日常の動きを元にしているため、バレエなどと異なり、年を取ったら引退ということはありません。もちろん若い時は派手に身体が動きますが、踊りの中身は年を重ねた人には及ばず、そのバランスが取れてくるのが、日本舞踊の場合はバレエなどと比べて上の年齢になります。