電車がゆっくりと大きく、ゆらりと揺れた。正確な時間はわからなかったが、14時46分だったんだろう。揺れは一瞬ではおさまらなかった。船上にいるかのようなゆるやかで大きな揺れが続いた。生まれて40年間で体感したことのない揺れ──。これが僕の3・11だ。
誰にもそれぞれの「その瞬間」があったはずだ。そのとき、東日本にいた人なら克明に覚えているはずだ。単に「揺れた」からではない。その直後から起きた、経験したこともない出来事で、世の中の空気が一変し、「世界」が変わったからだ。あれから3年が経った。でも、世界はその前には戻っていない。
2013年3月11日、11組のマンガ家によって震災が描かれた『ストーリー311』が発売された。それから1年が経った今日、第二弾となる『ストーリー311 あれから3年 漫画で描き残す東日本大震災』が書店に並んだ。
今回のコミックスには、ひうらさとる/青木俊直/うめ/岡本慶子/新條まゆ/二ノ宮知子/松田奈緒子/葉月京/ななじ眺/さちみりほ/おおや和美という11組のマンガ家が参加した。前回から引き続いて参加した作家もいれば、今回の第二弾から参加したマンガ家もいる。第一弾の登場人物のその後を描いたマンガ家もいれば、自らや家族が“被災者”だという作家もいる。描かれたテーマは厚みを増した。