最近は工場見学ブームだ。
ビールをはじめとしたアルコール、お菓子に食べ物などなど、いろいろな工場見学があるが、倉敷には2週間8000人の来場者を誇る工場があるという。

それも抽選式。それほどの人気を誇るのは、マスキングテープの“mt”である。

女性を中心に人気のマスキングテープだが、元を辿れば職人さん必須のアイテムだった。特に日本産マスキングテープは「薄いのに強度がすごい!」と、世界的に有名な人気商品であったという。

mtの母体であるカモ井加工紙株式会社さんは、車や家具を塗装する際に使われる工業用テープを作り続けて50年。
そんなカモ井加工紙株式会社さんに転機が訪れたのは、2006年のこと。
工場見学をしたいという東京の女性3名が訪れたのだ。その彼女たちが作ったマスキングテープのミニブックが、これまでのイメージを覆す雰囲気の一品だった。そんな彼女たちのリクエストもあり、デザインマスキングテープを作るようになったそうだ。
そして生まれたのが、マスキングテープの“mtブランド”である。

カラフルな色、可愛い、渋い、格好いいデザイン。まるで色鉛筆のようなマスキングテープから端を発して、現在までに限定品含め約1,000種のマスキングを制作。
太さも細い物から太い物までさまざま。もともとの工業用テープのノウハウを生かしているため強度がある。さらに和紙特有の強く柔らかく、透ける味わいを生かしさまざまなデザインを作り続け、多くのマスキングファンの心をわしづかみにしている。
さらにもっとマスキングテープの魅力を広めたい、と使い方の講座やワークショップなども精力的に行い、年に1回、工場見学ツアーを実施。前述通り2週間で約8000名を記録するほどの人気なのだそう。
倉敷はマスキングテープの町としても知られる。
その理由は、このmtがあるから。かもしれない。

そんなマスキングテープだが、可愛いけれどどんな風に使うのか分からない、という人も多いのでは。
実際どんな風に使うのかといえば、本当に自由自在。手紙や贈り物のラッピングとして。またはガラス瓶やパソコンなどを気軽にデコレーションしてみたり、器用な人なら壁や家具などにぺたぺた貼れば、気軽に模様替え気分も味わえる。


剥がしても跡が残らない、剥がしたあとも粘着力が落ちないこの特性を持つので、気に入らなければ剥がす、貼る。と、器用な人はもちろん不器用な人でもいろいろアレンジができるのも嬉しいマスキングテープ。
日本の隠れた名品であるこんなテープで、いろいろと楽しんでみては。
(のなかなおみ)