人生まだリセットできるんじゃないかって考えたことないか。
生き直すっていうかさ。

なんとかするなら今がギリギリ最後のチャンスなんじゃないかって考えたことないか。


25年ぶりの同窓会で再会した健太(井浦新)とあけひ(稲森いずみ)、そして遼介(松岡昌宏)と薫子(板谷由夏)というアラフォー男女2組の恋を描く「同窓生 人は、三度、恋をする」(TBS木曜9時)が、7月10日から始まった。

縁石からぴょーんと飛び降りて「キスして!」だの、職場に押しかけての無理チューだの、初回からなかなかの離れ技が炸裂したこのドラマ。今夜9時から放送の第2話にそなえて、第1話をおさらいしていきたい。

原作は柴門ふみによる、同タイトルの漫画作品。「ビッグコミックスペリオール」(小学館)で連載されていた。
コミックスは全3巻Kindle版もある。ドラマ化を記念し、新装版(上下巻)も発売された。

主人公・健太は中学の同窓会で、かつての元カノ・あけひ、友人の遼介や薫子と再会する。あけひはカリスマ美容師(バツイチ・子あり)と結婚し、3人の子どもがいる。昔から女子に人気があった遼介は結婚し、娘が生まれてもなお、婚外恋愛にいそしむ。「結婚してからも遊ぶ相手に不自由しなくてさ。
でも、それもなんだか飽き飽きしてきたんだよな」とうそぶく。学校イチの美少女だった薫子は男にも恋愛にも興味なし。趣味はマンション探しで、シングルライフを満喫中だ。

健太に「あけひは幸せなんだ…」と問われ、あけひは「うん…」と肯定しながらも、「でも、結婚しなきゃよかったかな。離婚するなら待ってればよかったかな、健太のこと」と言い出す。

第一話「君はあれから幸せになれましたか」では、原作コミックス1巻の第8話ぐらいまでが、かなりエピソードをシャッフルさせながら描かれる。


中学時代にあけひをフッた罪悪感をひきずりつつ、離婚した喪失感も抱く、屈託だらけの主人公・健太を演じるのは、連ドラ初主演の井浦新。深く考えているようでいて、単に現実から目をそらし続けているようでもある、つかみどころのない雰囲気がぴったり重なる。

健太の初恋の相手・あけひも、かなり原作に忠実。原作のなかのあけひは、ビッチ感と清純さを兼ね備え、男のファンタジーを凝縮したようなキャラだ。しかも、すごく幸せそうなのに、じつは生い立ちも現在の家庭環境も決して幸せとはいえないという複雑な設定。生身の人間にはさすがに……と思っていたら、稲森いずみがさらりと再現。
女優さんってすごいなあ。遼介は逆に、女のファンタジーの権化だ。純愛を求めてやまない恋多き男(しかも既婚者)という、ややこしいキャラをTOKIO・松岡昌宏が好演していた。

「なあ、この四人は下の名前で呼び合おうよ」
「なんかあったら連絡してよ。メアドも教えておくからさ」
「俺が欲しいのはホントの愛かもしれないな…」
「誰かを好きになるなら今のうちだ」
「人生を変えるような恋がしたい」

ええい、うっとうしいわ! と言いたくなるようなセリフの数々も、キュートにこなす。ブラボー。


原作では、かつての美少女がすっかりおばさん化していたという設定だった薫子だが、ドラマではおっさん濃度が高くなった美人にとどまっていた。
「あんた、私のことバカにしてんの!?」
「呼び捨てにしないでくれる」
「バカじゃないの、いい年ぶらさげて」
「せっかくだから、名前で呼び合おうぜ? サブいぼ!」

といった遼介に対する容赦ないツッコミは原作以上。おかげで、気恥ずかしさが中和され、おもしろがって恋愛模様を眺められる。

ただ、ほぼ女を捨てていた薫子がある時期を境にめきめき変わっていく、あの原作の衝撃を味わえないのはちょっと寂しい。なんらかの形で表現されることを期待したい。

第一話で、あけひに「キスして!」とせがまれた健太は
「よくないよ。
あけひは人の奥さんだろう。それに母親だ。軽い気持ちでもキスだって不倫じゃないか。不倫なんてしちゃいけないことだよ」
と説教をかます。

一方、遼介は「近くまで来たから」と、薫子が勤める薬局を訪れる。
そして、まさかの無理チュー。
バチーーーン! と薫子にほっぺたを張られても、にっこり。
「じゃあ」と去って行く。すげー。

さて、この二組の恋の行方はどうなるのか。TBS木曜ドラマ劇場「同窓生」第2話は今夜9時から放送です。
(島影真奈美)