運動会シーズン真っ盛り。

ところで、運動会というと、「行進」のとき、どういうわけか左右の手足がそろって出てしまっている子を見たことはないだろうか。


頭で考えれば考えるほど、左右の手足が一緒に出てしまう。まるで古いロボットの動きのように。幼心にも相当焦りを感じ、恥ずかしい思いをした苦い思い出。何を隠そう、私自身がそうだった。
今も、幼い子どもたちを見ていると、左右の手足がそろってしまっている子がいるけど……。

これって何故起こるの? 残念ながら、運動神経の鈍さによるものなのか……。
体育家庭教師の「スポーツ広場」代表・西薗一也さんに聞いた。

「左右の手足が一緒に出てしまう子は、『コーディネーションが弱い』といって、手足がバラバラに動く運動が弱いんです」
「行進」で左右の手足が同時に出てしまうタイプには、共通して、「なわとび」が上手くできないことも挙げられるそう。
「普通はジャンプをするとき、手も上にいきますが、縄跳びでは、とぶときに手を下にしますよね。これは普通の動きとは逆のことをしているわけです。このように、手足をバラバラに動かすのは『協調運動』といって、上手くできる子はなわとびも行進も上手にできるはずです」

では、なぜ「協調運動」が上手くできないのか。これは、「体を動かすこと自体に慣れていない」ことが挙げられる。

「普段歩くときは、意識せずに、手足がバラバラに振れているはずなのに、いざ『バラバラに動かす』こと意識すると、一緒になってしまう。スキップできない子もけっこういますが、同様に、『バラバラに動かそう』と思いすぎて、体に力が入ってしまっているんですよ」
運動は、どんなものでも「力を抜いてやる」ことが大切なのに、「運動が苦手な子」の場合は、意識しすぎて「体に力を入れ過ぎてしまう」傾向があるそう。

ちなみに、大きくなると、左右の手足がそろってしまうようなことは自然となくなるもの。
年長・小1~小4くらいの「ゴールデンエイジ」の時期は、神経系統がいちばん発達する時期であり、低学年の未発達な段階では手足をバラバラに動かせなかった子も、頭の理解と体の動かし方の相違がなくなってくると、自然とできるようになるのだそうだ。

では、現時点で「行進のときに、どうしても考え込んでしまい、左右の手足がそろって出てしまう子」は、どうやって力を抜けば良いのか。
「調整力を高める『コーディネーショントレーニング』といって、脳トレと運動トレーニングをかきまぜたようなもので簡単に直すことができますよ。
たとえば、右手で左ひざをタッチしながら歩いてみましょう。逆も同じで、左手で右ひざをタッチします。ひじタッチ、つまさきタッチなど、左右逆のほうをタッチしながら歩いていくことで、調整力が高まり、手足をバラバラに動かすことができるようになります」

「行進」で苦戦している子を持つ親御さんは、ぜひ参考にしてみては?
(田幸和歌子)