「新撰組の求人広告があったら?」「ジャンプの巻末コメント欄が徳川将軍だらけだったら?」など、歴史上の出来事をパロディにした本「【至急】塩を止められて困っています【信玄】」(飛鳥新社)が人気だ。発売して間もなく増刷が決定。
著者で「ユーモア妄想メディア ワラパッパ」の編集長を務めるスエヒロさんに話を伺った。まずは中身をちょっとだけ公開。

●もしも「敵に塩を送る」で、留守だった場合の不在連絡票があったら?

もしも「織田信長のLINEトーク一覧」があったら? 歴史上のパロディ本がヒット中
ご不在連絡票は「ヤマト運輸」が元ネタ


武田信玄といえば、信玄が塩止めにあった際に、ライバルの謙信が塩を送った話は「敵に塩を送る」という古事成語になっている。とはいえ、万が一、留守にしていて、塩が受け取れなかったら残念。そこで、「不在連絡票」みたいなものがあったら便利。近くの出城で受け取れる「出城受け取りサービス」があるのも嬉しい。


●もしも「刀狩り」の時に家庭が出す刀の束に貼り付けるシールがあったら?

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刀狩令の処理券は自治体のごみ券が元ネタ


刀狩りの際、農民がそれぞれの家庭で、刀などをまとめて出したとすれば、集めるほうも大変! 軒先に置いてある鋤や鍬も間違えて持って行ってしまうこともあったのではないだろうか。そんなトラブルを回避するために、こんな「刀の束に貼り付けるシール」的なものがあったら、万事解決しそうだ。

●もしも「生類憐れみの令」を違反した時に、なにかしらの違反切符や違反標章があったら?

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「生類憐みの令違反」の元ネタは駐車違反の黄色い紙


生類憐れみの令は、5代将軍綱吉によって出された法令で、動物などの殺生を禁止したもの。「天下の悪法」ともいわれる法令だが、捨て子保護としての一面もあったりして一概に悪法といえないという意見もある。ちなみに、違反を犯してこの標章を手にしたら最寄りの奉行所に出頭するべし?!

●もしも、親藩・譜代・外様がすぐわかる「大名パス」があったら?

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ライブ会場でよく見るシール


江戸時代の大名は、親藩・譜代・外様に分かれていた。しかし、これが結構ややこしく、「あの人って、親藩だっけ?」「この人は確か、外様だったような……」というような探り合いもあったのでは? そこで、こんなパスがあったら一目瞭然だ。


●身近な発想をヒントに

スエヒロさんの発想はどこからくるのか。
「基本的には『もしもシリーズ』です(笑)。設定を考えるのが大変ですが、アイデアが浮かんだらそれを形にするのは楽しいです。ただ、僕は歴史には興味はあるけどそんなに詳しいわけではないので、毎回自分でめちゃくちゃ調べてます(笑)」

内容を考える時は、身近にあるものを参考にすることが多いとのこと。例えば、昔の時代にSNSがあったら……という具合だ。

もしも「織田信長のLINEトーク一覧」があったら? 歴史上のパロディ本がヒット中
織田信長のLineのトーク画面は、明智光秀からの連絡回数がすごいことに。キャリアは「SenGoku」

▲スエヒロさんの傑作の1つ。
「織田信長のLINEトーク一覧」

ほかにも「鎖国のお知らせハガキがあったら?」「江戸時代の出島のAmazon風カスタマーレビューがあったら?」など、「【至急】塩を止めらてて困ってます【信玄】には46本を掲載。難しい話は一切出てこないので、いわば日本史の超入門編といったところだ。「歴史ってイジると面白い」というスエヒロさんのネタが揃った楽しい1冊である。
(取材・文/やきそばかおる)

「【至急】塩を止められて困っています【信玄】」(スエヒロ著 飛鳥新社刊)発売中
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