しかし、あきらめるのは早い。成田から飛行機で2時間半の近距離にある韓国・済州島にも、リプリー博物館があった!
韓国語で「信じようが信じまいが博物館」とも名づけられているこの博物館を、珍スポ巡りをライフワークにする記者が早速訪れてみた。
ポップな外観、だが内部はハードコア
外観は、さすが世界チェーン店という感じの、ポップで清潔感のある建物となっている。2010年にできたばかりなので、本家よりもソフトにアレンジされているのではと思い、穏やかな気持ちで中に入ると、そこに現れたのは、大きな人・足の3本ある人・首の長い人(それぞれ人形)によるスリーピースバンド……。
いきなり穏やかなではないが、まだまだ序の口だ。
リプリーさんを紹介する内容から始まり、1階の展示では、信じられないような人々を紹介する展示が目を引く。世界一背の高い268センチの人、150度のオーブンの中でも平気な人、纏足をしている人……といった、何ともコメントしづらい人たちが実物大人形で登場。
人形とはいえ纏足の様子などは、私にとってはかなり衝撃だったのだが、さらに驚くべきことに、館内には子供連れの観光客も少なからずいる(入場に年齢制限はない)。肝っ玉の強い大人になりそうだ。
展示物が怪しすぎる
さらに民族をテーマにしたコーナーへとつながり、人間の頭部から頭蓋骨を抜き取って作ったという装飾具(上写真)、人間の骨で作ったという衣服など、怪しすぎる展示物が続々と現れる。
個人的に気になったのが、10万ドルの価値があるとされるエルヴィス・プレスリーの髪の毛だ。本物なの? という憶測は、ここでは無粋というものだろう。
1階展示室を抜け、大木の根っこや風呂付きリムジンのある庭、ベルリンの壁の一部がある階段を通過して2階へ進む。
個性的な人たちのコーナーを通過し、最後に現れたのは、突然すぎて腰がくだける宇宙コーナーだ。宇宙服、ロボットにマジックミラー、トランスフォーマーやスターウォーズのキャラクターを模した展示物などが並ぶが、果たしてリプリーさんと宇宙の関連性は……?
もはや何が何だか分からないが、子供たちも楽しめそうなハートフルな展示で、奇妙すぎる観覧コースは終わりを迎えた。
好きな人にはたまらないだろう、大充実の韓国リプリー博物館。私などは、あまりの濃さにへとへとになったが、しかし変な脳内物質の分泌が止まらず、思わず2周してしまうほど面白かった。
最後に、博物館に取材アポを取りつつ、無粋とは思いつつも抑えきれずに「あのエルヴィスの髪の毛は本物なんですか?」と聞いてみた。
「アメリカの本社からは本物と聞いています」
はい、失礼いたしました。
信じようが信じまいが、それはあなた次第だが、日常生活にファンタジーが足りないと思ったら、勇気を出して訪れてみてはいかがだろう。
(清水2000)