「写真を見たとき、本物かと思った」
「どの角度から見ても目が合う。生きてるみたい!」
などと噂が噂を呼んでいるのが、「猫ラボ」さんの作る羊毛フェルト猫。

以前にコネタでも紹介しており、この春~夏には東京&大阪での猫好きクリエイターによるイベント『Cat's ISSUE POP-UP STORE』などをにぎわせていたが、このたび東京・恵比寿のギャラリーマールで初の個展が開催されることに。
まるで生きてるみたい! 羊毛フェルト猫を堪能できる「猫ラボ」初個展
今にも動き出しそうな猫ラボさんの作品を見られる個展『部屋に猫がいる』は、9月15日~20日に東京・恵比寿のギャラリーマールで開催。

今回の個展のほか、同時進行で制作された気になる新作などについて、ご本人に話を聞いてみた。まず『部屋に猫がいる』と銘打った今回の個展は、どんなテーマに基づいたものなのだろうか?
 
「人のすることをじっと見ていたり、かと思ったら手足を伸ばして寝てしまったり、お腹が空いたとアピールしてきたりといった、猫と生活したことのある人なら誰でも感じる猫の気配というか、“ああ猫がいるな”と感じる空間を作ることがテーマになっています。某写真SNSに「#部屋に猫がいる」というハッシュタグがあり、本当にただ猫を普通に写しただけのものが多いのですが、そこからそこはかとない日々の幸せが伝わってきてとても好きなタグなので、そのままタイトルにいただきました。…しかし後から確認してみるとそんなタグは見つけられなかったので、私の記憶違いかもしれません(笑)。でもフレーズ自体好きだからいいか、とそんなゆるい内容です」
まるで生きてるみたい! 羊毛フェルト猫を堪能できる「猫ラボ」初個展
全身にうっすらと縞模様の入った縞三毛猫。もっちりしたあごのラインなどもかなりリアルだ。


立体造形ならではの作品の楽しみ方も


今回は非売品を含め15点前後が展示される予定。前回の記事で紹介した二人展では額に入った半平面的な作品もあったが、今回はすべて立体の全身猫になるという。
毎回の展示ではリアルさを追求しながら試行錯誤を繰り返しているそうだが、最近はどんなポイントにこだわって作品を制作しているのだろうか。

「最近は猫の体のラインで自分の好きなところをもう少しちゃんと表現したいという思いから、全身植毛ではなくて薄く部分的に植毛したり、植毛せず表面をなめらかなまま仕上げたりすることが多くなっています。たとえば振り向いた猫と目を合わせるのもいいのですが、横から見たときの首の角度の妙や正面から見たときの意外とほっそりした胸元~前足のラインなど、ひとつの形からたくさんの表情を出せるように日々頑張っています。これは立体ならではの楽しみなので、作品を直接見られる方はぜひ自分の好きな角度を探していただければうれしいです」
まるで生きてるみたい! 羊毛フェルト猫を堪能できる「猫ラボ」初個展
猫の体のラインや全身のフォルムの愛らしさを強く感じさせる猫ラボさんの作品。実際の展示では、作品をいろんな角度から眺める楽しさも。

Instagramの有名猫くまおさんをモデルに起用


ちなみに過去の展示には、“ぶ顔猫”のヨウカンさんや、妖怪絵師・石黒亜矢子さんの愛猫のてんまる&とんいちなど、猫好きの間ではおなじみの人気者たちをモデルにした作品も登場していたので、今回のモデル猫も気になるところ。

「今回はInstagramから広まった人気猫“くまおさん”を作りました。名前のとおりちょっと猫ばなれしたフォルムや存在感のとりこになる人が多く、いろいろな作家さんがくまおさんをモデルに作品を作られているようです。本物のくまおさんをぜひチェックして、作品と見比べていただきたいです(くまお母のInstagram)
あと、個人的に石黒(亜矢子)さんにプレゼントするために作ったてんまる&とんいちがかわいく仕上がったので、非売品として今回展示させていただくことになりました」
とのことなので、そういった意味でも猫好きにはたまらない展示となりそうだ。
個展に来てくれる人たちへは、「今回お世話になるギャラリーマールにはウッドデッキと木々の緑に面した大きな窓があり、そこに猫がいるとしたらこんな子だろうと想像しながら作りました。ショップやイベントとはまた違った空間をぜひ楽しんでいただきたいです」とのメッセージも。

まるで生きてるみたい! 羊毛フェルト猫を堪能できる「猫ラボ」初個展
前回のバンナイリョウジさんとの二人展の様子。“猫あるある”なポージングの全身猫のほか、猫の顔だけでなく足や尻尾といった特徴的なパーツをクローズアップした作品も。


映画とのコラボで役者猫のドロップも制作


また猫ラボさんの最新ニュースとして注目したいのが、10月10日公開の映画『先生と迷い猫』とのコラボレーション。映画の中に登場するミイという猫をモデルに猫ラボさんが作品を制作しているのだが、このミイを演じている役者猫のドロップは、NHKの朝ドラ『あまちゃん』で宮本信子演じる夏さんの飼い猫・カツ枝を演じたり、『ヨルタモリ』にも登場している、ある意味“日本で最も有名な三毛猫”。この作品も9月12日より10月16日(予定)まで、東京・新宿の映画館バルト9にて展示される。

まるで生きてるみたい! 羊毛フェルト猫を堪能できる「猫ラボ」初個展
映画『先生と迷い猫』に登場するミイ=役者猫のドロップをモデルにした作品。正面からの顔も拝みたい人は、ぜひ新宿のバルト9へ!

「映画の担当スタッフの方が以前から作品をチェックしてくださっていて、宣伝用の企画にということで直接お声がけいただきました。私の作品はそれなりにデフォルメが入るのですが、それも含めてのご依頼だったのでありがたく作らせていただくことになりました。
一番難しかったのは、写真、映像、実物、それぞれに印象が違ったこと。しかもドロップさんは人気テレビ番組にも出演していた有名猫でファンも多いので、それぞれの人がもつイメージにどの方向から近づけたらいいのか迷いました。最終的には遠くから見たら『ミイだ!』という仕上がりになりましたので新宿にお出向きの際はご覧いただければと思います」
まるで生きてるみたい! 羊毛フェルト猫を堪能できる「猫ラボ」初個展
岐阜のショップ・nutaで展示される作品。窓枠や柱など、角を見つけては頭をすりつける、こんな仕草も“猫あるある”。

今回の個展と同時期の9月12日~20日には、岐阜のショップ・nutaでのミニ展『靴と猫好き』に参加。東京以外での初展示になるこのイベントのあと、9月24日~10月12日には東京・西荻窪のURESICAで開催される動物に関する諸問題をテーマにした『ペットショップにいくまえに』展にも参加予定だ。
一匹ごとに違う毛色や毛並みの妙、そして猫好きなら誰もが思わず膝を打つような猫独特のポージングといった、猫の愛らしさがぎゅっと詰まっている猫ラボ作品。今にも動き出しそうな猫たちに、ぜひ会いに来て欲しい。
(古知屋ジュン)