いやはや、予想の斜め上をいく展開でした。

昨夜、9月17日に最終回を迎えたドラマ「探偵の探偵」(フジテレビ木曜夜10時〜)。
のっけから、門脇麦がフルスロットルで爆走します。門脇演じる市村凜はDV被害者で、悪徳探偵でもあるという役どころ。オフィスのなかをぴょんぴょん飛び回りながら、猫なで声で玲奈(北川景子)を挑発したかと思うと、琴葉(川口春奈)に罵声を浴びせる。次の瞬間、可愛らしい声で話し始める。めちゃくちゃ怖い。

そりゃ、琴葉も「お姉ちゃんを殺さないで。お姉ちゃんが助かるなら、玲奈さんが死んでもいいです」って言っちゃうわけだ。だって、怖いもん。この人、どえらい狂ってる。
門脇麦の狂気vs.DEAN FUJIOKAの癒やし「探偵の探偵」最終回の超展開を振り返る
ドラマ「探偵の探偵」11話より

川口春奈がキャットファイトで鼻血ブー


凜は、琴葉の言葉をICレコーダーに録音し、玲奈に聞かせる。玲奈は言われるままに、拘束帯を腕にはめ、筋弛緩剤を打たれる。やがて、心電図モニターがフラットになり、玲奈は床に倒れ込む。万事休すか……というところからの反撃スタート。
机の上のスマートフォンをつかんで、琴葉が部屋の外に駆け出す。追いかけてきた凜に押し倒され、床に顔面を打ちつけられる。女優なのよ、顔はやめて!
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顔の傷もすっかり良くなった琴葉(川口春奈)

琴葉に馬乗りになり、首を絞める凜。背後から凜を殴り倒し、琴葉を救ったのは筋弛緩剤を打たれ、絶命したはずの玲奈だった。じつは、玲奈はこれまでの“死神”の手口からおそらく今回も筋弛緩剤が使われると予想し、筋弛緩状態から回復するための薬を調達していたという。なんという慧眼。「くやしい? 自分のバカさ加減が」という、凜のセリフをそっくりそのまま本人にお返しする。

原作とは異なる“死神”の最期(市村凜/門脇麦)


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玲奈(北川景子)と琴葉(川口春奈)はそれぞれの道を歩き始める

形勢逆転されながらも、玲奈を挑発し続ける“死神”。原作小説では、玲奈は凜の胸にナイフを突き立て、琴葉を救う。一方、ドラマ版の玲奈は「あんたを殺すために探偵になったんじゃない」とナイフを下ろす。「失望させんなよ」と玲奈の手をとり、ナイフを深々と自分の腹に突き刺したのは凜自身だった。そして、よろめきながら歩き出し、階段から落ちて動かなくなる。
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玲奈(北川景子)がスマ・リサーチ社を辞めると聞かされ、ショックを受ける琴葉(川口春奈)

こうして“死神”と玲奈の死闘は幕を下ろす。
警察の取り調べに対して、琴葉を始めとするスマ・リサーチ社のメンバーは、現場には玲奈はいなかったと証言する。琴葉と一緒に拉致された、姉の彩音も同様に、玲奈については口をつぐむ。あれだけ、敵視していたにも関わらず、だ。
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病室で人生を語り合う峯森姉妹

「すごくさびしっくて……ごめんね」「わたしが弱すぎるから……」と謝る姿は相変わらず、きなくさい。「人ってそう簡単に成長できない……それでも強く生きなきゃね。頑張ろうね、おねえちゃん」と励ます琴葉もやっぱり、どこかズレている。だが、門脇麦の狂気を目の当たりにした後だと、峯森姉妹のおかしさは誤差の範囲に見えるのが恐ろしい。

本日の探偵ポエム:「人生は片道切符だ、でも途中下車も悪くない」(DEAN FUJIOKA)


今回、門脇麦の狂気以上に度肝を抜かれたのが、DEAN FUJIOKAと井浦新による、ほのぼの探偵トークだ。凄惨なシーンが続いた前半とは対象的に、後半はゆったりと時間が流れる。バーで酒を酌み交わしながら、事件を振り返るふたり。須磨社長(井浦新)がかつて、暴力団の一員として活動していた過去も明かされた。
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本気で探偵の勉強を始める琴葉(川口春奈)

「昔、よくじいちゃんが言ってたな。
人生は片道切符だ、でも途中下車も悪くない」と
桐嶋(DEAN FUJIOKA)が言うと、須磨社長が「そうだなあ」と同意。さらに、桐嶋が「じゃあ、俺は先帰るわ。ここは兄貴の奢りで!」とダメ押しする。須磨社長、お兄ちゃんか! 姉妹の関係をさまざまな角度から描いてきた本作は、兄弟の物語でもあった。
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妹の墓前に向かう玲奈(北川景子)

大きな流れは原作に忠実だった本作。だが、最終回では大胆なアレンジが加えられていた。というのも、原作に玲奈と死神との死闘が登場するのは3巻。じつは原作ではこの後、まるまる1巻分にあたるエピソードが残っている。そこは思いきってバッサリ落とし、代わりに、のんきな兄弟ネタを投入。おかげで重々しさが払しょくされ、すっきりとした後味となった。
門脇麦の狂気vs.DEAN FUJIOKAの癒やし「探偵の探偵」最終回の超展開を振り返る
ご機嫌な悪徳探偵の前に立ちはだかるのは、我らが紗崎玲奈

といっても、まったく異なるラストが用意されたわけではない。ドラマで最後の最後に描かれた悪徳探偵退治のエピソードは、原作小説では4巻のラストに登場する。
「いまさらそれ聞く? 探偵の探偵って言ってるでしょ」と茶目っ気たっぷりに答える玲奈。エピソードの抜粋加減も、伏線の回収具合もさじ加減が絶妙だ。

「探偵の探偵」最終回は「フジテレビ プラスセブン」で9月24日20時59分まで無料配信中。原作との違いを見比べながら見直すのもおすすめです。

(島影真奈美)
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