昨夜、9月17日に最終回を迎えたドラマ「探偵の探偵」(フジテレビ木曜夜10時〜)。
そりゃ、琴葉も「お姉ちゃんを殺さないで。お姉ちゃんが助かるなら、玲奈さんが死んでもいいです」って言っちゃうわけだ。だって、怖いもん。この人、どえらい狂ってる。

川口春奈がキャットファイトで鼻血ブー
凜は、琴葉の言葉をICレコーダーに録音し、玲奈に聞かせる。玲奈は言われるままに、拘束帯を腕にはめ、筋弛緩剤を打たれる。やがて、心電図モニターがフラットになり、玲奈は床に倒れ込む。万事休すか……というところからの反撃スタート。

琴葉に馬乗りになり、首を絞める凜。背後から凜を殴り倒し、琴葉を救ったのは筋弛緩剤を打たれ、絶命したはずの玲奈だった。じつは、玲奈はこれまでの“死神”の手口からおそらく今回も筋弛緩剤が使われると予想し、筋弛緩状態から回復するための薬を調達していたという。なんという慧眼。「くやしい? 自分のバカさ加減が」という、凜のセリフをそっくりそのまま本人にお返しする。
原作とは異なる“死神”の最期(市村凜/門脇麦)

形勢逆転されながらも、玲奈を挑発し続ける“死神”。原作小説では、玲奈は凜の胸にナイフを突き立て、琴葉を救う。一方、ドラマ版の玲奈は「あんたを殺すために探偵になったんじゃない」とナイフを下ろす。「失望させんなよ」と玲奈の手をとり、ナイフを深々と自分の腹に突き刺したのは凜自身だった。そして、よろめきながら歩き出し、階段から落ちて動かなくなる。

こうして“死神”と玲奈の死闘は幕を下ろす。

「すごくさびしっくて……ごめんね」「わたしが弱すぎるから……」と謝る姿は相変わらず、きなくさい。「人ってそう簡単に成長できない……それでも強く生きなきゃね。頑張ろうね、おねえちゃん」と励ます琴葉もやっぱり、どこかズレている。だが、門脇麦の狂気を目の当たりにした後だと、峯森姉妹のおかしさは誤差の範囲に見えるのが恐ろしい。
本日の探偵ポエム:「人生は片道切符だ、でも途中下車も悪くない」(DEAN FUJIOKA)
今回、門脇麦の狂気以上に度肝を抜かれたのが、DEAN FUJIOKAと井浦新による、ほのぼの探偵トークだ。凄惨なシーンが続いた前半とは対象的に、後半はゆったりと時間が流れる。バーで酒を酌み交わしながら、事件を振り返るふたり。須磨社長(井浦新)がかつて、暴力団の一員として活動していた過去も明かされた。

「昔、よくじいちゃんが言ってたな。
桐嶋(DEAN FUJIOKA)が言うと、須磨社長が「そうだなあ」と同意。さらに、桐嶋が「じゃあ、俺は先帰るわ。ここは兄貴の奢りで!」とダメ押しする。須磨社長、お兄ちゃんか! 姉妹の関係をさまざまな角度から描いてきた本作は、兄弟の物語でもあった。

大きな流れは原作に忠実だった本作。だが、最終回では大胆なアレンジが加えられていた。というのも、原作に玲奈と死神との死闘が登場するのは3巻。じつは原作ではこの後、まるまる1巻分にあたるエピソードが残っている。そこは思いきってバッサリ落とし、代わりに、のんきな兄弟ネタを投入。おかげで重々しさが払しょくされ、すっきりとした後味となった。

といっても、まったく異なるラストが用意されたわけではない。ドラマで最後の最後に描かれた悪徳探偵退治のエピソードは、原作小説では4巻のラストに登場する。
「探偵の探偵」最終回は「フジテレビ プラスセブン」で9月24日20時59分まで無料配信中。原作との違いを見比べながら見直すのもおすすめです。
(島影真奈美)