朝ドラ「まれ」(NHK 月〜土 朝8時〜)9月18日(金)放送。第25週「秒読みコンクールケーキ」第149話より。
脚本:篠崎絵里子(崎の大は立) 演出: 一木正恵
愛する人とやりたいことをやる「まれ」149話
「まれメモリアルブック」NHK出版

149話は、こんな話


一徹(葉山奨之)は所沢へ徹(大泉洋)を探しに行く。希(土屋太鳳)は圭太(山崎賢人)と海で夢について語り合う中、ついに自分のつくるべきケーキを見つける。

今日も、進展遅め


今週は本当に進行がゆったりです。
圭太が博之(板尾創路)と、一徹が徹と、男子が長年反発していた父と向き合うとする気持ちを大事に描いているとはいえ、速くて派手な展開に慣れてしまったカラダには、今週のエピソードは少々おとなしいかも。
と、なにかとマイナスなことを探そうとしてしまうのは、「まれ」を見ていてカラダがそういうふうに慣らされてしまったから? だが、そんな世の中の意地悪な目線をものともせず、「まれ」の登場人物たちはただただ純粋に、愛する人とともに生き、やりたいことをやろうとし続けます。

希と圭太が、海岸のやぐらのところで語り合うシーンは爽やか。
希は、ただの「だらふわ」と思っていた圭太が、意外としっかりしていたことに感心します。この「だらふわ」は26話で、希とみのりが圭太について語り合ったときに登場する言葉。あのときもやぐらに上って、希とみのりは圭太のことを考えていました。希は圭太に告白して振られてしまっていたのですよね。なつかしー。
思い出の場所で、いま、希と圭太は肩を並べて、夢を見る。希と圭太が十代のときからずっと、お互いの夢をリスペクトして、支えあっているふたりを見て、サン=テクジュベリの有名な名言「愛とはお互いを見つめ合うことではなく、ともに同じ方向を見つめることである」が思い浮かびました。


「いい器ちゅうがは最後は作り手の中身ねんな」「自分自身をちゃさらけ出して器に込める。それやひとの心をちゃ動かすげんな」という圭太の言葉が、希にインスピレーションを与えます。滑るような空撮で海、鳶の声がして、「見えた私のケーキ」という希のアップ。この流れはベストショット。いろいろあったとんでも展開が、この爽やかなシーンで相殺されてしまったような・・・。

余談ですが、やぐらのシーンを見ながら、土屋太鳳はまんでトランジスターグラマー(背が低いけれど胸やおしりが女性らしく発育しているひとのこと。死語? )だなあと改めて思ったのですが、トランジスターグラマーと言えば、ひし美ゆり子!(紺谷おじいちゃんの再婚した女性役) ひし美さんキャスティングによって「まれ」では新旧トランジスタグラマー対決が楽しめたのでした。
(木俣冬)

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