
150話は、こんな話
ついに、希(土屋太鳳)は、ケーキのテーマを決めた。悩みに悩んで見つけたそれは「夢」。それと共に、4つの課題──プチガトーは輪島塗、焼き菓子は元治さんの塩、ピエスモンテはキリコ、アントルメは家族、とそれぞれ、能登で出会ったものたちで統一。
希の挑戦をブログに書く一徹(葉山奨之)は、コメントを書き込めるようにして、徹のメッセージを待つことに。そして、ついに連絡が・・・!
今日の、つっこ「まれ」
引っぱりに引っぱって、週の終わりにようやく希がみつけたケーキのテーマが、大方の予想をひとつも裏切ってくれませんでした(祭りのキリコのことはちょっと忘れかけていたので、あ、あったね、キリコ、と思いましたが)。
でもこれは致し方ない。創作において処女作とは、自分の人生そのものを出し切った初動の強さとも言えますので、妥当でしょう。
子供のときに能登に来て、そこで最初に出会った原風景に、希の人生は大きな影響を受けています。
希は圭太を「だらふわ」と笑っていたけど、これまでの希こそ「だらふわ」(駄目でふわふわしてる)だった気もしますから、そのだらふわな女が、ふわふわしてきて最後の最後に自分の夢と真剣に向き合い、故郷と家族に対する愛と感謝をこめながら作品をつくって世界に勝負を賭けるというプロットのために、ここまで地道にコツコツエピソードを25週分、積み重ねてきたわけです。
でも、「能登の風土と大悟のもとで培った味覚をもとにより深い味を探る」と魔女姫(戸田恵子)がナレーションしているのを聞いて、味覚は希のポテンシャルなんじゃないの? と思わせてしまう脇の甘さ。プロットとしてはわかりやすくて良かったけれど、そこから枝葉をつけていくところで、朝ドラ26週は、5時間半で4つのお菓子を作るくらい大変なのでしょう。
どのみち、32歳の女が回り道してきたけどやりたい夢に真剣に向き合うっていうドラマはもはや、コンテストに勝っても負けてもどうでも良くて。それより、50歳過ぎても何も成してない男が、どうするかっていうドラマのほうに強い興味があるのですが、一週間じゃたとえ書いてもいつのもパターンだろうしなあ・・・。
なあ〜んて、こんなふうに外野に訳知り顔で毎日書かせてないで、最終回、美しくまとめて頂きたいです。
(木俣冬)
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いまひとつ視聴率が伸びないが、奮闘は讃えたい。NHK朝ドラ「まれ」おさらい(54話までを総括))