GACKT 「オマエが時代を動かせ!」と喝! 新曲「ARROW」誕生秘話/インタビュー

■New Single『ARROW』インタビュー(1/3)

“GACKTISM”が色濃く反映されたメッセージソング

10月7日(水)リリース、46枚目にして2015年第一弾シングルとなる『ARROW』。表題曲は、深遠にしてパワフル、ドラマティックかつ重厚なミドルバラードで、GACKTの誇る超絶的な歌唱技術が余すところなく活かされた力作。
それもそのはず、2015年3月からスタートするコンセプト・ライヴツアー『LAST VISUALIVE TOUR』に向けた制作が本格化し、いくつもの曲が生まれては外され、という厳しい選抜作業が繰り返される中、オープニングを担うことに決まった特別な曲なのだという。<美しく散れ>と歌うが、反語的に伝わってくるのは“生きろ”という痛切な叫び。全編を通じ、“GACKTISM”と本人が呼ぶところの人生哲学が色濃く反映された、ある種のメッセージソングでもある。矢(ARROW)を放つという表現に重ねた想い、次世代に繋げたい“魂のバトンリレー”について、GACKTが熱く語ってくれた。
(取材・文/大前多恵)

オマエが流れをつくれば周りも流れる、そして時代が動く

――「ARROW」は壮大なスケール感を誇る曲ですね。1曲を聴いたというより、舞台の全幕を観終えたかのような体感があり、様々な感情を味わうことができました。


GACKT:濃いよ(笑)。『LAST VISUALIVE TOUR』がもう目前に迫っているから、今はそれを組み上げるのに必死で……これは、そのうちの1曲。『LAST VISUALIVE』の幕開けとなる代表的な曲だから。「これがオープニングになるのか」と想像しながら聴いてほしい。

――なるほど。ということは、この曲以外にも並行して何曲も創っていらっしゃるんですよね?

GACKT:そう。
これまでずっと創ってきていて、ライブの構成・構図が見えてきているから、「この曲の立ち位置はどうしよう?」「この曲はどこで演奏するべきなのか?」と、いろいろと考えながらバランスを取って創っている。今は集中して曲選びをしている段階なんだ。「曲が出来たから、はい、やります」じゃなくて、出来たとしてもライブに必要なかったらやらない、という取捨選択をするから、そういう意味では、自ずと曲のパワー感がどんどん強くなっていくよ。

―― “矢”(ARROW)というモチーフは、どんなところから着想なさったのですか?

GACKT:矢って、何もしなかったら飛ばない。飛ばすためには自分の力を振り絞らないといけないわけで。しかも、振り絞ったからといって当たるわけでもない。
それが人の想いに似ているな、って。その距離感から当たり方、届き方まで、すべてが。自分の意志の表れ、とでもいうのかな。自分が描いた理想を追い求める上での、自分の決めたこと・覚悟も、この歌には重なっているんだよね。

――矢は的を絞って放たれ、刺さる、という届き方をしますね。他の武器ではなく、やはり、矢でなければならなかったんですね?

GACKT:他の武器の場合は、自分の力を使わないじゃん? 武器の中で唯一、矢が自分の力を振り絞らないと目的まで届けることができないものだからさ。
まずは弓を引かなきゃいけない。

――そのためには筋力もなければいけませんね。

GACKT:そう。ベストじゃない状況でも矢を引く覚悟はあるのか?という話だよ。男って女性よりも遥かに馬鹿で、単細胞だからこそ、理想を追い掛けるし、夢を求めるし、その美徳の中で生きているところがある。そういう男を「馬鹿だな」と思いながらも女性が支えてくれるから、男と女のバランスがうまく成り立ってたんじゃないのかな?って思うんだ。
今の世の中、小ズルい、小賢い男ばかりになっていて、それができなくなってしまっている気がするんだよね。夢を描いて、もがいていたからこそ時代が動いてたわけで、それがなくなったら停滞する。なぜ池が淀(よど)むのか?を考えてみれば分かるように、水が止まるのと同じように人間の世界も同じで、動きが止まった時点で淀む。常に次の時代に向けて、誰かが何かを動かそうと前に前に進んで行かないとダメなんだ。そしてボクはみんなにそれを“自分ごと”として考えてもらいたい。「やりたいことありますか?」「なりたいものはありますか?」「生まれてきた意味を感じたことはありますか?」と訊かれて、「ない」と答えるんだとしたら、「じゃあ、なんでキミはここにいるんだ?」ってことさ。
それが見つけられない時点で、止まっている、ということなんだよ。

――今の日本がそういう状況になってしまっている、と。

GACKT:多くの連中がそうなってきているよね。

GACKT 「オマエが時代を動かせ!」と喝! 新曲「ARROW」誕生秘話/インタビュー

――その停滞ムードを嘆くだけでなく、風穴を開けよう、との思いがあるのですね?

GACKT:ボクごときが風穴を開けられるとは思ってない。ただ、「こうやって生きたほうが楽しいぜ? “生きている”って実感できるぜ?」という姿は見せてあげられる。ボクは少なくとも、「自分は生きている」と実感しながら生きているからさ。それは別に、GACKTみたいになりたいか・なりたくないか、という話ではなくて、「今の自分でいいかどうか?」ってことなんだよ。こんなボクのコメントを批判する奴もたくさんいる。それはそれでいい。他人のことを批判するだけじゃなく、自分自身もしっかり前に進んでいるのなら。

――そのように各自が自問自答することで、前に進むことができる、と?

GACKT:そうそう。今の自分自身に満足して「これ以上何もすることがない」と言うなら、それはそれで幸せな人生だとも思う。何かをやりきった後でその答えが出ているのなら、それはもう死を覚悟している人の言葉だよ。何もやっていないのにその言葉が出るということは、池が淀んでいるのと変わらない。だから、「動けよ!」ってこと。淀むということは、周りにそれがどんどん広がって感染する、ということでもあるからさ。「オレはこれでいいや」じゃ済まないってことなんだよ。人は一人では生きていない。だから無人島みたいなところで生きない限り、少なくとも何かしらの影響は必ず出るんだ。だから、「オマエが淀むと、この世界が淀むんだよ」ってことなんだよ。

――裏返せば、それが希望にも繋がりますよね。「自分が何をしてもどうせ変わらない」と諦めずに、アクションを起こしさえすれば、波紋が広がるように、少しずつでも何かが変わっていく、ということですから。

GACKT:そう。オマエが流れをつくれば周りも流れる、時代が動く。良くも悪くも人は必ず人に影響を与えるから、「オマエが時代を動かせよ!」ってことなんだよ。

GACKT 「オマエが時代を動かせ!」と喝! 新曲「ARROW」誕生秘話/インタビュー

次の世代に、自分の残せるものを残したい、と思う

――前回の『VISUALIVE』が開催されたのは2009年ですので、その後、日本は東日本大震災を経験しましたし、時代が大きく変化してきていると思います。そんな中、GACKTさんが次なる『VISUALIVE』に取り組まれる上で、例えば、「自分がこれを言わなければ」という使命感が増すなど、変化を感じる部分もありますか?

GACKT:次の世代に、自分の残せるものを残したい、とは思うよね。自分が死ぬまでに、次の世代やその次の世代に、ボクが持っていた“GACKTISM”みたいなものを届けられるんだったら、自分の役割としてやらなきゃいけないな、とも思う。結局、一人の大人として、想いを届けて“魂のバトンリレー”をすることが、未来をつくる子どもたちに対してやらなきゃいけない一番のこと。否定をされることなんてクソほどあるさ。でもそんなことをいちいち気にしてたら何も出来ない。自分の想いを形にしている最中に、自分がいかにガキだったかってことに気付くさ。歳を取ったから大人になるってものじゃないからね。“大”という字は、人が両腕を開いているから“大”なわけじゃない? つまり、何かを背負っているからこそ初めて大人になれるわけで、背負っているものが何もない人は、大人じゃないんだよ。

――やはり、行動する中にしか、気付きはないんですね。

GACKT:動かなきゃ気付かないよ。頭で考えてネットの他人の記事やコメントを読んで理解できるほど、そんなに簡単なものじゃない。

――7月に開催されたお誕生日イベントの取材をさせていただきましたが、ご自身の年齢についてですとか、「あとどれくらい続けられるか?」という、以前は考えなかったことを意識するようになった、と心境の変化を語っておられました。年を重ねるごとに、次世代に何かを残したい、という想いも強まっているのでしょうか?

GACKT:それはあるよ。30歳を超えて、自分のことだけ考えて生きていちゃダメなんだ、と思うようになって、次の世代の子たちに何を届けられるのか?って動くようになった。この前すごくうれしいことがあってね。ドラマの撮影中、あるダンサーの女の子に会ったんだけど、その子は小学生の時、ボクのライブに出た子だったんだよ。「実はGACKTさんに会ったことがあります」と言われたものの、見た目が大人だから分からないわけで。「どこで会った?」と訊いたら、「コンサートに出ました」って。でもボクは自分のライブに出ているダンサー全員を知ってるから、「いや、出てないけど……?」って(笑)。

――(笑)。

GACKT:ボクは毎回必ず2人ずつ子供のダンサーも入れるんだけど、その子が今大人になって、ダンスを教える側のプロの仕事に就いて頑張っていた。その姿を見た時に、「少しは背中を押せたのかな?」と思ったよ。ちょっとでもきっかけになっているんだとしたら、うれしいよ。

――ちょっとどころか、かなり大きなきっかけだったんじゃないですか? 

GACKT:まあ、普通は小学生で数千人の前では踊らないから(笑)。しかも、バックじゃなくてメインで。

――そういった形での再会も、GACKTさんが長く活動を続けて来られたからこそ実現したものだと思いますので、本当に尊いことですよね。

――インタビュー2へ

GACKT 「オマエが時代を動かせ!」と喝! 新曲「ARROW」誕生秘話/インタビュー
ARROW【CD+DVD】

≪リリース情報≫
46th Single
『ARROW』
2015.10.07リリース

【CD+DVD】
GLCD-00010 / ¥1,800(税抜)
【CD】
GLCD-00011 / ¥1,200(税抜)

[収録曲]
1. ARROW
2. ARROW(Orchestra Ver)
3. ARROW(-Instrumental-)
4. ARROW(Orchestra Ver -Instrumental-)
<DVD> ※CD+DVD盤のみ収録
ARROW(MUSIC CLIP)

GACKT 「オマエが時代を動かせ!」と喝! 新曲「ARROW」誕生秘話/インタビュー
ARROW【CD】

≪ツアー情報≫
【GACKT WORLD TOUR 2016『LAST VISUALIVE』】
2016年3月19日(土)埼玉・三郷市文化会館 大ホール(※ファンクラブ限定公演)
2016年3月21日(月・祝)山梨・コラニー文化ホール(山梨県立県民文化ホール)
2016年3月26日(土)大阪・オリックス劇場
2016年3月27日(日)大阪・オリックス劇場
2016年3月30日(水)神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホール
2016年4月1日(金)新潟・新潟県民会館 大ホール
2016年4月6日(水)兵庫・神戸国際会館 こくさいホール
2016年4月7日(木)兵庫・神戸国際会館 こくさいホール
2016年4月9日(土)青森・八戸市公会堂 大ホール
2016年4月10日(日)宮城・仙台サンプラザホール
2016年4月12日(火)神奈川・鎌倉芸術館 大ホール
2016年4月16日(土)長野・ホクト文化ホール 大ホール
2016年4月17日(日)石川・本多の森ホール
2016年4月21日(木)広島・上野学園ホール
2016年4月23日(土)岡山・岡山市民会館
2016年4月25日(月)福岡・福岡サンパレスホテル&ホール
2016年4月29日(金・祝)北海道・ニトリ文化ホール
2016年4月30日(土)北海道・ニトリ文化ホール
2016年5月10日(火)千葉・森のホール21 大ホール
2016年5月14日(土)愛知・名古屋国際会議場 センチュリーホール
2016年5月21日(土)愛媛・松山市民会館 大ホール
2016年5月27日(金)東京・東京国際フォーラム ホールA
2016年6月15日(水)熊本・市民会館崇城大学ホール(熊本市民会館)
2016年6月17日(金)宮崎・宮崎市民文化ホール 大ホール
2016年7月2日(土)埼玉・さいたまスーパーアリーナ
◎詳細:https://www.gackt.com/page/LVL/

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