朝ドラ「あさが来た」(NHK 月〜土 朝8時〜)10月24日(土)放送。第4週「若奥さんの底力」第24話より。
原案:古川智映子 脚本:大森美香 演出:新田真三

24話は、こんな話


奈良の豪商・玉利知信(笑福亭鶴瓶)を訪ねたあさ(波瑠)は、芸人たちを泊めていた埃っぽい馬小屋を掃除したことで興味をもたれ、お金を無利息で貸してもらえただけでなく、日本一の女商人になるとお墨付きまでもらう。

埃と誇り


たまたまだと思うが、奇しくも姉妹が各々の場で“ほこり”に関わっていた24話。

あさは「埃」。
加子部屋のほうがまだましな、泊まりたくない「埃」っぽい馬小屋に通されて、さすがのあさも一瞬ひるんだものの、猿回しの猿の可愛さのおかげで窮地を逃れる。こういうパターンがあともう一回出てきたら、ロープレふう展開を狙っているのかと勘ぐりたくなる。

主人公がいろんなひとに出会いながら成長していくというのは王道だけれど、
その出会いに、加子部屋の水夫に続いて、大道芸人・・・と歴史の片隅に息づいているいろいろな職業の人たちを出してくるのは面白い。

彼らは「新しい朝」という新しい時代の切り替わりのなかで、次第に淘汰されていく存在でもあり、あさは時代を切り拓いていく身とはいえ、彼らを尊重もしているところが実にヒロイックだ。

はつは「誇り」。
同じ頃、姉のはつ(宮崎あおい/さきの大きい立)は、実家へ、夫・惣兵衛(柄本佑)とお金を借りに行き、父・忠興(升毅)に断られてしまう。
でも、それでよかったと思うはつ。それが自分たちのせめてもの「誇り」だと。
はつははつで、もうひとりのヒロイン足る凛とした貫禄を見せつけた。

イケメン対決


そんな姉妹が町中でばったり出会う。
はつは仲良さそうに旦那さまと一緒、あさの旦那さま・新次郎(玉木宏)は番頭・亀助(三宅弘城)に任せて家にいる。

いいのか、新次郎。
いや、仕方ない。物語の展開上、新次郎は家にいないと、五代才助(のちの友厚/ディーン・フジオカ)と出会えないから。
あさのいない間に、新次郎と才助は出会い、酒を酌み交わす。
あさとの関係を「運命」と言う才助が、薩摩の言葉を話すのを聞いて、新次郎はあさに影響を与えた人物だと気づく。
才助が握手を求めると、行灯を渡すのは、この頃はまだ握手が日本でポピュラーではなかったのだと思いつつも、新次郎にさりげない牽制の気持ちが働いたようにも見えなくない。
母・よの(風吹ジュン)も息子がかすんでしまうことに気を揉んでいるし(こういう描写をわざわざいれるのサービス精神)、今後の、あさをめぐる新次郎と才助のライバル関係が気になる。
史実だとこの頃すでに最初の妻と結婚しているようだが、ドラマを盛り上げるには少女漫画の王道でいってほしいところ。
(木俣冬)

木俣冬の日刊「あさが来た」レビューまとめ読みはこちらから
編集部おすすめ