朝ドラ「あさが来た」(NHK 月〜土 朝8時〜)10月29日(木)放送。第5週「お姉ちゃんに笑顔を」第28話より。
原案:古川智映子 脚本:大森美香 演出:新田真三

28話は、こんな話


新次郎(玉木宏)は、はつ(宮崎あおい/さきは大きいに立)を見つけ出し、惣兵衛(柄本佑)と酒を酌み交わす。
あさ(波瑠)は五代(ディーン・フジオカ)の開いた寄合所に出席、はつへの思いを仕事への情熱に転化しはじめる。
その頃、あさとはつの実家・今井家は新政府の仕事を請け負う事になって、東京への移転を考えていた。

旦那さま会


野菜の入った天秤棒を担いでいる惣兵衛の表情が妙に明るい。
こういうほうが性に合っているってことなのだろうか。
「喧嘩すら買うお金残ってまへんけどな」と、新次郎いわく「昔は面白かった」
惣兵衛が復活の兆しを見せる。
家が重荷になっているのは、新次郎も同じ。ふたりとも商売人の家に生まれたことが身の不幸、家のためになることができなくて、どこか屈折している。
男性でも家を継ぐのが当たり前ということはなく、好きなことをやれない不幸があるのだなと感じさせるふたりが、いろいろ語り合う場面は哀愁漂う。
互いの妻についての話題になると、惣兵衛がこんなことを。
「そこまで旦那さんに思ってもろてたら幸せもんやな・・・そやけどわしは・・・ははは・・・久しぶりの酒はようまわるわ」
そやけどわしは・・・のあとは言わずにうどんをすする惣兵衛の表情が後を引いた。

奥様は縫い物


こんなふうに、言わないところが良いところの「あさが来た」。だが、28話では言っちゃったことも。
寄合所で繕いものをしながら話を聞いていたあさに、「なんでだす?」とツッコむ雁助(山内圭哉)。
これも放置して視聴者に心のなかでツッコマせてしまうかと思ったがそうではなかった。別の話題から息継ぎなしに「なんでだす」になだれ込む台詞術がさすが。
さらに「相変わらず大きな縫い目だすなあ・・・」と呆れる雁助。16話で、あさが雁助の襦袢に縫い付けたかいらしい猫ちゃん(犬?)に対してもほんとはそう思っていたのだろうか。

縫い物がへたなあさは、27話では痛っと針を指に刺してはつを思い出していた(お守りをみつめる)。指の痛みが、姉への痛いほどの思慕になっている。
28でもへたくそな縫い物を続けるあさ。その終わりには、はつが器用に縫い物をしている。お琴も縫い物も上手でも、生活は楽でない。なんともやるせない。
(木俣冬)

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