33話は、こんな話
あさ(波瑠)と新次郎(玉木宏)の夫婦関係を心配したよの(風吹ジュン)は、美和(野々すみ花)を妾にすることを提案する。
そこへ、あさを訊ねてはつ(宮崎あおい/崎の大は立)がやって来て相談ごとをした帰り、産気づいてしまう。

新次郎と猫
色っぽい三味線のお師匠さんに迫られた新次郎だったが、あさのへたくそなお裁縫が危機を救う。新次郎はあさがへたなりに一生懸命縫っている顔を思い出して、我に返ったのだ。
ネタを長く大事に紡いでいく姿勢やよし。
へたくそでも一生懸命な気持ちをちゃんとわかってくれる男性はいい。現実ではなかなかこうもいかないが、「あさが来た」はドリームをくれる。
33話のあさは、商売に夢中で男勝りなところが、広く世間に知られてしまうほどになっているが、その一方で可愛らしい面を見せる。
新次郎の回想のお裁縫シーンのほか、新次郎に妾をもつことを姑がすすめているところを立ち聞きしてしょんぼりその場を離れるシーンだ。このときの波瑠が心底落胆して見える。もの言わぬ演技もいけるではないか。
ああ見せてあさには、けっこう乙女なところがあり、新次郎がほかの女性のところにいっていることを気にしている。その点に関して、子供を宿したはつに圧倒的な引け目を感じていて、そこが意外。
進歩的なあさが、女が子供(家の跡継ぎ)をつくらないといけないということには囚われているのか、単純に新次郎への思いなのか。
はつも子供ができてからめきめき強くなっている。
子供をつくることが、「お家を守る」というあさとはつの強烈に刷り込まれた使命の最重要ポイントに感じられてしまうが、ただひたすらに夫への愛情であると思いたい。
あさがせっせと商いに精を出しているからか、新次郎は猫を愛ではじめた。
猫の大きな眼が、あさに少し似ている気がした。
(木俣冬)
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