確かに地味な印象のある90年代だが、ある国民的アイドルが連日お茶の間を賑わせていたことを記憶している人も少なくはないだろう。
それが、双子のご長寿アイドル、金さん・銀さんである。
100歳の双子フィーバー
金さん・銀さんこと、成田きんさん、蟹江ぎんさんの2人が100歳の双子姉妹として脚光を浴びたのは、1991年のこと。この年、数え年で揃って100歳を迎えた2人が愛知県知事と名古屋市長から長寿祝いを贈られたことが新聞などで報じられると、一躍時の人となり、ここから100歳を超えた双子姉妹の快進撃が始まる。
当時を知る人の間ではおなじみの「金は100歳、銀は100歳」というフレーズでCMデビューを果たすと、「きんちゃんとぎんちゃん」という曲でレコードデビュー。史上最高齢でオリコンチャートインしたかと思えば、翌年の紅白歌合戦にゲスト出演。「笑っていいとも!」や「徹子の部屋」などのバラエティ番組やトーク番組、ドラマに特別出演をするなど、またたく間に国民的アイドルとなった。
国民に愛されたご長寿アイドル
まさに100歳を超えて花盛りを迎えた金さん・銀さん姉妹。上記のような活躍は海外でも取り上げられ、1995年には台湾へ招かれて初めての海外旅行を経験。金さんは大学の科目等履修生となって学びの場へ飛び出すなど、100歳超とは思えないほど精力的に活動を続けた。
愛らしい表情と含蓄のある発言で国民に愛されたご長寿アイドルだったが、2000年1月に金さんが惜しまれながら逝去。1年後にはあとを追うようにして2月に銀さんが亡くなる。銀さん107歳、銀さん108歳だった。
金さん・銀さんが残した名言が秀逸
双子のご長寿アイドルが社会的ブームとなっていたことは、1992年の流行語大賞に金さん・銀さんの言葉が選ばれたことからしても頷ける。100年もの間に培った経験から、2人は数々のユニークな名言を生み出した。
■「うれしいような、かなしいような」
長寿祝いの席で「100歳になった感想は?」と聞かれ答えた言葉が1992年の流行語大賞となった。
■「はだかのおつきあい」
当時、宮沢りえと人気力士の貴花田が婚約したというニュースを聞き、2人が述べた感想がこれ。そのユーモアに報道陣が湧いた。
■「老後の蓄えにします」
「芸能活動を通して入った収入をどう使いますか?」という問いに。このユニークさがご長寿の秘訣なのかも知れない。
ちなみに、銀さんの4姉妹の娘はいずれも90歳超。長女に至っては100歳を超えているというのだから驚きだ(2015年9月現在)。チャーミングな表情とユニークな発言でお茶の間を沸かせたご長寿双子アイドル金さん・銀さんの遺伝子は、今もこうして生き続けている。
きんさんぎんさんが丈夫で長生きできたワケ