TBS系列で放送中の『バース・デイ』で、セレブレーター(語り)を務める東山紀之。先日行われた番組の囲み取材で、肩書きを知ったようだ。
2005年4月からスタートした『バース・デイ』が12月5日(土)の放送で500回を迎える。番組のコンセプトはこうだ。
「過去の自分を突き破り、未知なる自分が産声を上げた時、人生という名のカレンダーに、新しい誕生日が刻まれる。」
プロ野球でいえば、活躍中の選手に注目が集まるが、『バース・デイ』は戦力外通告を受けた選手たちにフォーカスを当てる。アスリートを中心に、勝利と敗北の瞬間に密着するドキュメンタリー志向の番組だ。
10年間のナレーション、放送回数は500回

過去の放送では、200回突破記念に王貞治、400回では横綱・白鵬と対談。12月5日放送の500回記念では、日本女子サッカー・なでしこジャパンの澤穂希選手と女子レスリングの吉田沙保里選手をゲストに迎える。
東山「この二人も超一流アスリートであることは間違いないので。(中略)この道を切り開いていく方たちで、非常に興味深くお話しをさせていただきました。(中略)また澤さんは結婚したばかりで、結婚を含めてお話しを伺ったので、ぜひ、いま頑張っていらっしゃる女性の方にも見ていただきたいなと思います。」
――放送500回を迎えた実感はいかがですか?
東山「『バース・デイ』だけで10年間させてもらったので、この番組のおかげで様々なアスリートの物の考え方とか経験とか、哲学とかを、僕自身がナレーションさせてもらうことによって、自分の中でも普通に本を読むよりは昇華してきたのかなと。」
『バース・デイ』の前身である『ZONE』時代から数えるとナレーター歴は15年に及ぶ。
東山「僕のキャリアの中でも半分を占めているので、そう考えると嬉しくもあり恐ろしくもあり。
セレブレーターであり時には死神
取材は勝負の世界に生きるアスリートが多い。輝かしい場面だけを集めて放送するのではなく、挫折や人に知られたくない部分にまで踏み込んで映像におさめる。アスリートとスタッフの信頼関係の元に生まれた映像に、命を吹き込むのが東山の役目だ。
――ナレーションとして命を吹き込むときに一番意識していることは?
東山「自分の感情を入れないことですね。悲しかったり、楽しかったりと、出ている方たちの感情なので、そこに自分の感情を入れないということですね。なるべく淡々とじゃないですけど、ストレートに読むようにしています。」
――番組のどんなところに視聴者からの反響がありますか?
東山「どん底から這い上がる意識改革っていうのがみなさん同じような状況下にはいったときに、心にくるものなんじゃないかなと思います。『戦力外通告』もそうなんですけど、人ってそういう瞬間にどういう心持ちでいられるのかはとても大事だと思うので。ほぼ毎年させてもらっていますが、野球選手からみたら僕は“死神”に近いと思う。
そこからどういう風に復活するのか、人間力が出てくるのかっていうのは興味深いし、人生の中でとても大事だなと思うので。それがやっぱり新たなバース・デイを迎えるという道につながるのではないかと。」
どんな職業もアスリート
東山「スポーツやっている人たちには必ず引退があるので覚悟がある。その覚悟がプレーにも出てきますし、どういうふうに先に伸ばしていこうと努力していくと思うのです。
僕らは引退がないのでハッキリした線引きがないんです。
「この番組がなぜ僕だったのか」東山自身の『バース・デイ』は?という質問に、当時まだ初挑戦だったこの番組のナレーションを挙げた。
「東山さんにとってどんな番組か」には「俳優もアスリートだなと思わせてくれた番組」と即答。体調が万全でないとナレーションにも影響が出るので、収録日は必ずトレーニングをしてからスタジオに入る。10年以上ものあいだナレーターを務めるために、影ながら続けている努力があった。
記者から東山自身の出演を聞かれると、
「遊びの中でそんな話が出たことはあるのですが、僕自身はやっぱり他の方達がやっているものに僕が命を吹き込むことに喜びを感じるので、こういうスタイルを続けていくことが大切。なるべくこの番組に関しては裏方でいきたいなと思ってます。
(もし出演するとしたら)そのうち(国分)太一とかがやってくれるんじゃないかな(笑)」
『バース・デイ』500回記念SPは12月5日(土)16:30〜17:30から。
(柚月裕実)
