イベントは2部構成。1部では主題歌を担当する礒部花凜と北川理恵が、そして2部では作曲の高木洋と作詞の大森祥子が登壇。どちらも「プリキュア」シリーズの生みの親・鷲尾天プロデューサーによるMC進行だ。
礒部きらら、北川みなみによるライブパフォーマンス!
「春のカーニバル」の上映後、駆けてくる礒部花凛。マイクを持った礒部は、ノーブル学園の制服に身を包み、特徴的なツインテール。天ノ川きららの格好だ。
いきなりの生ライブ! OPテーマの「MiracleGo!プリンセスプリキュア」を歌う。

続いて、北川理恵がやってくる。礒部がきららなら、北川は海藤みなみ。編み込みの入ったロングヘアがかわいい。
ライブパフォーマンスは、後期EDテーマの「夢は未来への道」。各プリキュアのソロバージョンがあるという遊びのある曲だ。今回は「フローラ」バージョンを歌ってくれた。

MCの鷲尾Pはベージュのスーツ、礒部&北川はノーブル学園の制服姿。1部はまるで「ノーブル学園の授業風景」のよう。
プリキュアのOP&EDに選ばれて
オープニング歌手に抜擢された礒部。選ばれた理由は、歌声が主人公の春野はるかのイメージにぴったりだったからなのだそう。しかも礒部は、ミス・ユニバース・ジャパンの奈良代表に選ばれたこともある「プリンセス」。
鷲尾「ミス・ユニバースのときに撮られた写真を見ると、ものすごくきりっとしてるんですよ。でも実際に会うと……こういう方じゃないですか!」
ものすごくほわ〜んとしている。
礒部「最近、帰省するたびに親に『大丈夫か?』って心配されるんですよ……どう思います?」
客席から「がんばれー」「大丈夫ー!」と応援の声が上がる。
礒部「ありがとうございます〜、(プリキュアファンの皆さん)暖かいですね〜!」
北川は10代のころからミュージカル女優として舞台に立ち、「アニー」にも出演している。
鷲尾「北川さんは舞台で見るとすごく大きく見えますね!」
恐縮する北川。
ふたりとも、プリキュアに関わるのは今回がはじめて。
鷲尾「周りの反応とか、ありました?」
礒部「そりゃあ……ありました!」
鷲尾「も、もうちょっと膨らませて!」
礒部「友だちに言われていちばん嬉しい!ってなるのは、プリキュアはどれもかわいいんですけど、『プリンセスプリキュアは最高にカワイイね!』って言ってもらえること。本当に嬉しいです!どうぞ!」
北川「プリキュアは歴史がある作品。
担当することになったEDは、感情たっぷりに歌い上げるような曲調。
北川「今までのプリキュアのED曲とはちょっと違う、美しい感じの曲だとわかって。『私のできる最大限を生かして選んでいただいたんだ、その期待に応えなきゃ!』と思ったのをよく覚えてます」
礒部「(小声で)すごい……」
相方のしっかりした受け答えに、感嘆の声を上げる礒部。

必ず良い組み合わせになる。プリキュア歌手陣の名コンビ
鷲尾「歴代のOPとEDの歌手のみなさんをたくさん見てますけど、必ずいい組み合わせになるんですよね。みんな、必ずどちらかが役割を背負うんですよ!」
ボケとツッコミとでもいうべきか。どちらがどちらかは、トークが始まって5分でわかった。
礒部「相方が理恵ちゃんでよかったな〜ってしみじみ思って……」
北川「平和だね……平和でよかった……仲良しです!」
OP&ED歌手の2人は、プリキュア関係のイベントに出演することもある。最初のイベントで、まさかのトラブルがあったのだそう。
鷲尾「こんなお2人だから、北川さんが進行を仕切るんだと思ってたら、実はその時は礒部さんがやってたんですよ!」
北川「そのときは、私が舞台上できれ〜に段取りを忘れまして……!そしたら花凛ちゃんが『ちょっと作戦会議しま〜す!』って。花凛ちゃんのほうが冷静でした」
礒部「ううん……冷静でした!」
一回否定してから、場の空気を読まされて肯定する礒部。
鷲尾「あの時の2人を見て、安心したんですよ。
鷲尾先生から褒められて、嬉しそうな生徒2人。
屋外のイベントの場合は、悪天候という避けられないトラブルもやってくる。
鷲尾「本来なら雨ならイベントは中止になるんだけど、お客さんも入っていたし、待ってくれているので、やることになった。聞いた話によると、2人は傘をさして歌ったとか?」
北川「はい!」
礒部「プリキュアも傘をさして。すばらしくレアですっ」
鷲尾「その対応を聞いて嬉しくて。雨が降っていてもイベントを決行するのって、お互いの中に熱気がないとできないことなんですよ。お客さまのほうにも、こちらのほうにもないと……」
良い話だな〜!

映画を彩る「プリキュア」音楽
第2部は、スタッフのクロストーク。1部とはうってかわって、「職員会議」の雰囲気だ。プリキュアシリーズに欠かせない作曲家・高木洋と、作詞家の大森祥子が登壇した。
鷲尾「今回の映画はお2人に大変お世話になっております! 中編と長編に入っている挿入歌を、高木さんと大森さんのコンビに作ってもらっています。また高木さんには短編のBGMをすべて担当してもらっています」
中編ではレフィが元気にかわいく歌う「Happy Happening♪」、長編ではパンプルル姫の凛とした強さが印象的な「Sharin' Miracle」がそれぞれ作品をいろどる。
鷲尾「大変だったと思います。5分の短編は特に。
高木「『つなげ』と言われました(笑)」
鷲尾「スミマセン! すごくムリを言いましたが、素晴らしい音楽をいただきました」
短編や中編の音楽へのこだわりは、監督たちもイベントやインタビューで話している。映画に欠かせない要素のひとつだ。

「私がいけなかったんです」「同じものを流してもしょうがない」音楽陣の苦労とこだわり
鷲尾と2人は、以前からしばしばタッグを組む。プリキュアシリーズ以外でも、大森は「ねぎぼうずのあさたろう」OP&ED、高木は「怪談レストラン」に参加している。
もはや「おなじみ」と言ってもいい間柄。今回の映画で苦労したことはあったのだろうか。
大森「映画『は』スルッと……」
鷲尾「ぎゃ、逆に、どこらへんがスルッとじゃなかったんですか?」
大森「私がいけなかったんです……」
いきなり反省から入る大森。
大森「映画の場合は、レフィちゃんやパンプルルちゃんひとりの歌なので、そのひとりの気持ちになりきる感じ。でもOPテーマは、もっと広くて、なおかつしっかりとした核を表現しないといけない。そういう中で、ちょっと迷走しました。でも楽しい作業でした。
高木「3本立てなので、それぞれに合わせて、コンセプトも違う音楽を考えるのはいつもよりも時間がかかりましたね。打ち合わせも3倍やらないといけないですし」
鷲尾「しょっちゅう打ち合わせで高木さんと会ってましたよね……」
高木「でも同じものを流してもしょうがないので、なるべく違うものを作ろう、と思いました」
音楽の制作時期がキュアスカーレット加入と重なったのもあって、かなり大変な制作だったようだ。
高木「やっぱり短編が大変でしたね。仮の映像を見せてもらっていたんですけど、後ろに文字で『びっくり』とか書いてあるんですよ!質問してしまった。『この文字は最後まで残るんですか?』『残りません!』(笑)。完成版を見たら、フローラが表情豊かでとてもよかったです」

大好きなプリンセスプリキュア、一番大変だったドキドキ!プリキュア
プリキュアシリーズにもずっと参加してきた2人。大森は「Max Heart」、高木は「Splash☆Star」のキャラクターソングからの参加だ。その長い「プリキュア歴」の中で、印象に残っていることを鷲尾が尋ねる。
大森「『プリンセスプリキュア』です。プリキュアシリーズは小さい女の子がみんな見ている人気のアニメで、私も始まったころからずっと見ていたんですけど、いつか主題歌をやりたいな〜!と思ってたんです。主題歌のお話をいただいたときに、テーマが『プリンセス』なのも本当に嬉しくて……私は『プリンセスプリキュア』が大好きです」
「ドキドキ!プリキュア」でメイン音楽を担当している高木。
高木「ドキプリはちょっと大変でしたね〜。これまでいろんなアニメの音楽を担当してきたんですが、ドキプリは曲数が79曲と多くて。
目をそらす鷲尾。
高木「自分の作曲家人生で一番大変だったと思います、ドキプリのときは」
鷲尾「斯様にいろいろな方にご迷惑とご無理をおかけして成立しているテレビシリーズです!みなさま味わって楽しんでいただければ!」
プリンセスプリキュアはクライマックスへ。そして来年は……
「プリンセスプリキュア」のテレビシリーズは、クライマックスに向かっている。
高木「いつも、最後の10話くらいはあえて台本を見ないようにしているんです。みなさんと同じ目線で、毎週日曜日はハラハラドキドキしています。一緒にプリキュアを応援しましょう!」
シリーズの終わりが近づくのはさみしい。その一方で、次の作品への期待も膨らんでいる。
正式発表された次のシリーズのタイトルは「魔法つかいプリキュア!」。東映は1966年から不定期に「魔女っ子」ものに取り組んでいる(いわゆる東映の「魔女っ子シリーズ」)。最初の「魔法使いサリー」から50年、とうとうプリキュアにも魔法がやってきた!
春の映画の情報も解禁された。タイトルは「映画プリキュアオールスターズ みんなで歌う♪奇跡の魔法!」。公開日は2016年3月19日だ。
歴代プリキュアの「涙」が狙われるというストーリー。特報映像も公開されている。

「魔法つかいプリキュア!」のロゴにある、魔女っ子帽子でハートを描くかわいいアイコンが、映画のポスターの中にも確認できる。新しいプリキュアたちの参戦を、歴代のプリキュアと、そして歴代の音楽が温かく迎えるだろう。楽しみです!
(青柳美帆子)