12月6日、5年ぶりに行われた漫才日本一決定戦『M-1グランプリ2015』(テレビ朝日系)。

(イラスト/小西りえこ)
観ていて心地いい大会
これまで島田紳助や松本人志、オール巨人など、言わばお笑い界の“権威”が審査員を務めてきたM-1グランプリ。今回、5年ぶりに復活するにあたって審査員を一新。歴代のM-1チャンピオン9名が審査員席に並んだ。その結果、スタジオ内で一番芸歴が長いのは司会の今田耕司になった。
今回のM-1グランプリ、もちろん緊張感はあるにせよ、これまでのピリピリムードとはすこし異なるように感じた。観ていて純粋に楽しい、多幸感あふれる大会になったのは、この世代交代の影響が大きいのではないかと思う。
ネタ終了後に点数が発表されるときも、MC席と審査員席でのキャリアの高低差に以前ほど開きがない。審査員よりベテランの今田耕司が若手の横についているからだ。今田の「どうでしたかのんちゃん」の振りにフット岩尾が「審査員として威厳がなくなるんで、のんちゃんやめてもらえますか」と返したり、笑い飯哲夫の「えこひいきになるとあかんので2点低くつけた」というボケにスーパーマラドーナ武智が「何やお前!」と絡むなど、これまでのM-1にないタイプのやり取りも多かった。
他にも、ネタ前の煽りVTRがない、観覧の芸能人がいない、ネタ中に審査員の顔を抜かないといった違いも見られた。純粋に漫才の面白さを競う方向に番組が作られていて、観ていてとても心地いい。
ブレの少ない採点
以前の審査員ほどキャリアが長くないとはいえ、過去の激戦を勝ち抜いたM-1チャンピオンたちである。どんな審査をしたのか、点数をまとめてみた。

審査は1人100点の900点満点で行われた。表中の赤い数字がその審査員がつけた最高点、青い数字が最低点である。中川家礼二とますだおかだ増田が、ほぼ同じ傾向で点数を付けているのが面白い。和牛、銀シャリといったスタンダードなしゃべくり漫才の点が高いように見える。

平均点や標準偏差も算出した。標準偏差は各値のバラつき具合を示すもの。標準偏差が大きいと、採点した点数の最高値と最低値の幅が広いことを示す。ノンスタ石田、ブラマヨ吉田の標準偏差が3点台であるが、総じて1〜2点台に収まっている。『キングオブコント2015』では3〜5点台の開きがあった(※参考:「キングオブコント2015」採点データ分析で見た意外な真実。
バラつきが少ないということは、どこかを突出して評価してるわけでも、落としているわけでもないことを表す。過去に点数をつけられた経験や、現役のプレイヤーであること、現役ゆえに今のお笑いシーンの傾向も肌で感じていることが、ブレの少ない点数を生んでいるのではないだろうか。
ちなみに、優勝したトレンディエンジェルはM-1放送終了後そのまま『聞きにくいことを聞く 生放送SP』(テレビ朝日系)に出演。喜びの第一声はこれでした。
トレンディエンジェル齋藤「ぺ」
M-1優勝おめでとう!
(井上マサキ)