JR埼京線の十条駅は用事がないとなかなか降りることがない駅だが、一歩足を踏み入れると下町情緒あふれる風景が広がっている。どこまでも続く長い長い商店街「十条銀座」には、ユニークな名前のラーメン店や居酒屋などが軒を連ねる。
こんなに十条の人口は多いのかと思うほどの混みっぷりで、きっとこの地に大型デパートやショッピングモールができても、この商店街が負けることはなさそうなほどの活気あふれる場所だ。
ここにもう一つ訪れて欲しい場所がある。それは、クリーニングとパンのお店が同居した「コーゲツベーカリー」。地元で愛されていて、信じられないほどのコスパと味を誇る地域密着のパン屋だ。
開店して数時間で売り切れ
十条駅北口から徒歩で約9分。帝京大学病院の信号が見えたらもう到着する。
中は2人はいるともう一杯という狭い場所に、お惣菜系やスイーツ系のパンが並んでいる。
こちらはフルーツドック（100円）。冬場だけの限定メニューになる。ツヤのよいミカンとパンがきれいなコラボレーション。缶詰のみかんとクリームのハーモニー。割ってみると、パンの底までクリームたっぷりの心地よさ。
ケーキのような食感と甘酸っぱいミカン。ふわふわっとした口どけがウマい。
ヤキソバパン（130円）。安いからといって量をケチらないのが、下町十条の人情。焼きそばも太目の麺がたっぷりでしゃきっと食感のキャベツもしっかり入っている。1人前の焼きそばのボリュームと言っても過言ではないほどで、食べ応え抜群だ。
クリームパン（60円）。これが60円でいいんだろうか？ 端から端まで入ったカスタードクリームとつやつやのパンは言うまでもなく相性がいい。
コスパも高く、もちろんウマイので朝8時にオープンして2時間後にはほとんど売り切れてしまう人気ぶり。店主の「通り沿いで場所がいいから、あっという間に売り切れるのよ」なんて謙虚な姿勢も魅力だ。
その他、チーズインハンバーガー（160円）、小倉あんぱん（60円）、アップルパイ（60円）、フィッシュバーガー（160円）、コロッケサンド（130円）、一斤150円の食パンが人気のようだ。どれも丁寧に作られた愛情こもったパン。
十条一の愛されパン屋の魅力が伝わってきた。
（松岡佑季）
