
87話はこんな話
あさ(波瑠)にうれしい2通の手紙が来た。一通は、新しい炭坑の情報。一通は、和歌山にいる姉はつ(宮崎あおい/崎の大は立)からのもの。
あさが炭坑をもうひとつ買おうと張り切る一方で、明治14年7月、五代(ディーン・フジオカ)は政府高官と癒着しているという醜聞が新聞に書き立てられていた。
五代のピンチ
先週の「新春、恋心のゆくえ」をまだ引きずるように、うめ(友近)が雁助(山内圭哉)に意味深な発言を。
「いずれ暖簾わけして、一国一城の主にならはります。そんときは・・・」
それをあさが立ち聞きして・・・。
うめにも雁助にも恨みはないし、むしろ好ましい人物たちだが、もう恋バナはいらなくないか。
五代の件含め、毒がまったくないカップルがいくつ描かれても、つぶ餡、こし餡、うぐいす餡・・・と餡は餡。そんなに食べられない。
と、そんなささやかな不満を感じていたところ、はつの登場(手紙だけれど)で、目先が変わる。
それと、五代のピンチ。
「手に負えそうにないものほどつい追い求めとうなる。
と言って、ひとつのことに満足せず難儀なほう難儀なほうにいってしまう五代。
部屋に飾ったペンギンの絵にそっと触れて・・・。
五代に絵心があることは、「商都大阪をつくった男 五代友厚」(宮本又郎/NHK出版)を読むとわかる。ここには五代の描いた戯画が載っていて、これもまたなんとも味わい深い絵なのだ。少年時代、世界地図を模写したエピソードも盛り込まれ、友厚の前は才助だっただけはあって、ビジネスだけでない様々な才能をもっている人物だったのだなあと思わせる。
お酒をたくさん飲み過ぎたのが命取りだったのだろうか。もったいない。
五代のピンチに、あさが九州から帰ってきてしまうのが、すごいな。今と違ってそんなに簡単に帰ってこれそうにないにもかかわらず。
(木俣冬)
木俣冬の日刊「あさが来た」レビューまとめ読みはこちらから