女子大生が一人で作る馬術フリーペーパー「UmaGirl」作者のほけつ愛

都内の美術大学に通う徳田絵海さん。馬術の魅力に惹かれ、馬術の楽しさを女性に知ってもらうべく、一人でフリーペーパー「UmaGirl」を制作している。果たして馬術の魅力とは？　徳田さんに聞いてみた。

「ほけつさん」に惚れ込む

――そもそも、徳田さんが馬術に興味をもったきっかけは？
「2012年に開催されたロンドンオリンピックです」

皆さんはロンドンオリンピックで話題となった「ほけつさん」を覚えているだろうか？　ほけつさんとは、日本史上最年長となる71歳で馬場馬術の選手として出場した法華津寛さんのことだ。1964年に開催された東京五輪に初出場。現在はリオデジャネイロ大会の出場を目指しており、代表に決まれば75歳での五輪出場となる。徳田さんはオリンピック出場で話題となっていた法華津さんの華麗な姿に惹かれ、馬術の世界にのめりこむようになった。「Umagirl」の創刊号では「馬術界のプリンスほけつ様」と題して法華津さんの魅力を解説している。

「愛馬のウィスパーと、一心同体で挑んでいる姿に惚れます」

この一心同体というところがミソなのだそうで、単に馬が走っている姿を見ただけではここまでキュンとくることはないそうだ。

「馬術以外にも注目なのが、法華津さんの経歴です。非常に華やかで、祖父も父も会社の社長や会長というリッチなご家系。ご自身も実業家をして大活躍してらっしゃるところも素敵です」

設定だけを聞いていると、少女漫画に出てくる王子様を彷彿とさせる。

徳田さんは、いつの日か法華津さんとお話をすることを夢見ている。今のところ、遠い場所から見守るのみだ。

「お会いしたら緊張して何も話せなくなってしまうかもしれませんけど……。法華津さんはシタビラメのムニエルがお好きだそうで、練習しておこうかと（笑）」

経歴が変わっている選手といえば、僧侶でありながら選手としても活躍している人がいる。

「ロンドンオリンピックに出場した佐藤賢希選手、北京オリンピックに出場した英賢さんは兄弟で、長野県の明松寺に生まれました。父の正道さんも住職でありながら、モスクワオリンピックの馬術代表候補でした。この時は日本がボイコットしたため、出場を果たせなかったんです。だから息子さんの五輪出場は佐藤家の夢だったそうなんです」

そもそも馬術とは？

五輪では馬場馬術、障害馬術、総合馬術の3種目が行われている。
馬場馬術は演技の正確さや美しさを競う競技で、常歩、速歩、駈歩の3種類の歩き方を基本に、さまざまなステップを踏む。障害馬術は障害物を決められた順番通りに飛越、走行するもので、スピードが求められる。総合馬術は馬場馬術競技、クロスカントリー競技、障害馬術競技の3種目を同一人馬のコンビネーションで3日間をかけて行う。日本馬術連盟の会員数は6000人超だが、トップとして活躍している人となると1000人ぐらいではないかと言われている。

「やっぱり、お金がかかるんです。道具を一式揃えるだけでもかなりかかりますし、馬を買って厩舎に預けて世話をすることを考えると、ある程度のお金がある人ではないと難しいと思います」

徳田さんは選手のコスチュームにも注目している。
「白シャツに白ネクタイにシルクハット。飾りボタンには馬のデザインのものがあったり、革製の長靴もオシャレです」
競技大会の模様は動画でも見ることができる。徳田さんは馬事公苑などに足を運ぶこともあるが、動画を見ているだけでも幸せなのだそうだ。


馬術をスター◯ックスコーヒーに例える企画も（「UmaGirl」Vol.7　徳田絵海さん制作）。
「お金がないから、なかなかスタ◯に行く機会もないんですけど、やっぱり女性はスタ◯が好きっていうイメージもあったので作ってみました」

現在は毎月の発行。徳田さんはもうすぐ就職活動に入ってしまうが、できるだけ発行は続けたいとのこと。今の時点では法華津さんがリオオリンピックに出場できるか定かではないが、オリンピックが始まる頃には徳田さんの就職が決まって、法華津さんの活躍が見られますように。
（取材・文／やきそばかおる）

●馬術フリーペーパーUmaGirl

[配布場所]
ONLY FREE PAPER(渋谷)、本屋B&B(下北沢)、東洋百貨店入り口(下北沢)、みじんこ洞(高円寺)、ぽたかふぇ。(高円寺)、3331LIBRARY(千代田)、はっち(大阪)、シカク(大阪)、Colmena(沖縄)
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