90年代にヒットを飛ばしていたのが野島伸司脚本のドラマ。『未成年』、『人間・失格』などセンセーショナルな描写が多く話題を呼び、視聴率は平均20%を超えることも珍しくなかった。
その野島伸司脚本のドラマ『高校教師』に出演し、ブレークしたのが桜井幸子だ。
その後も野島伸司脚本ドラマの主演を多く務め、実績を積み重ねた桜井幸子とはどんな女優だったのだろうか。

朝ドラで知名度アップ


桜井幸子は「アクアフレッシュ」のCMオーディションで合格して芸能界入り。堀越学園の芸能学科に通いながら、宮沢りえ主演の『スワンの涙』で女優デビューを果たした。

桜井幸子の知名度が上がったのはNHKの朝の連続テレビ小説、通称「朝ドラ」に出演をしてから。朝ドラ『おんなは度胸』で泉ピン子とダブル主演を務め、老舗旅館の若女将役を好演した。このことがきっかけとなり、女優として多くの人に認知されるようになった。

『高校教師』で大ブレーク


1993年にドラマ『高校教師』で、真田広之演じる教師と恋仲になる女子高生役をを演じた。この「高校教師」は元々、観月ありさが主演の予定だったが主演をキャンセルしたことがきっかけで、桜井幸子に白羽の矢が立ったらしい。

このドラマは多くの衝撃的な内容が含まれている。女子高生が教師に性的暴行されたり、同性の先輩に恋心を抱かれたり、14歳の時から父親と性的関係にあったり……。
その中でもドラマのテーマだった教師と生徒の「禁断の愛」を桜井は見事に演じ、最終回の視聴率は33%を記録。女優としての立場を不動のものとした。

高校教師の後も


桜井幸子はその後も『人間・失格』や『未成年』など、代表的な野島伸司脚本のドラマに出演し続けた。野島作品では薄幸な役ばかりであったが、『いつかまた逢える』では福山雅治の初恋の相手役を演じていたり、『レッツゴー永田町』ではコメディも演じていたりと役の振り幅が広い女優だった。


突然の引退


しかし2009年、突如として公式サイトで引退発表。「十数回海外の仕事を頂き、また、数回の海外留学の経験をさせていただきました。これらの経験が契機となり、数年間考えた末に今回の決断に到りました」と理由を書いていた。
引退後の桜井は公の場に一切姿を見せていないが、ある週刊誌の報道では、現在は海外へ移住したとのこと。

90年代をあっという間に駆け抜けた桜井幸子は、突如として表舞台を降りた。90年代の芸能界を爽やかながらも陰のある女優として、一時代を築いた彼女はどんな風に考えていたのだろうか。彼女が残した演技を見ることで、それが垣間見えるかもしれない。

(篁五郎)
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