
かわいそうな大隈さん
「わしが、わしがウグイスやと!」
大富豪・大隈(大和田伸也)が打ち震えます。
世奈子(田中美奈子)は大隈に、瑠璃(古川凛)は富貴子(黛英里佳)と瀬尾綱輝(片岡信和)の子供で、大隈は騙されてホトトギスの雛を育てているウグイスではないか、とご注進してしまいました。
合同結婚式から5年、にわかに、誰の子問題がみんなの心をざわつかせます。
戸籍上は、綱輝の妻である美輪子(逢沢りな)は、富貴子と自分の関係性なら、綱輝と富貴子に子供がいても構わないと言います。
美輪子ったら、都合のいい時だけ、姉妹の絆を持ち出してくるんだから、もう。
そもそも、瑠璃が生まれてから4年間、問題なく生活してきたのに、なぜ急に? というと、子供の顔がはっきりしてきてから疑惑が沸いてくるもののようです。
大隈は精子無力症であることもわかって、完全に、瑠璃は自分の子ではないことをつきつけられてしまいました。
あんなにかわいがっていたのに、自分の子じゃないと思うと、躊躇してしまう大隈。苛立って富貴子の顔にお茶をぶっかけると、
「ヘタな芝居でもしてゴマかしたほうがいいじゃないんですか」と逆切れする富貴子。
いやいや、これは富貴子が悪いでしょう。
大隈は別に何かずるしたわけじゃなくて、借金のかたに富貴子を嫁にしただけなのに。
勝手に悲劇のヒロインぶってる富貴子と美輪子が、他人を踏みににじっているだけで、その常軌を逸した行為を楽しむのが、このドラマ。
常軌を逸したと言えば、大隈も愛憎の涯に、やけっぱち合戦に参戦です。精子は無力でも、それ以外は気力に満ちています。
柔道男子・甥の伸介(脇知弘)を家に住まわせることにして、富貴子に「せいぜいかわいがってもらえや」なんてただれた台詞を吐く大隈。これ、大人の女・富貴子にかわいがってもらえなの? 夫に代わって伸介にかわいがってもらえ、なの? どっちでもいいけれど、伸介が玄関に畳強いて、受け身の練習している場面には心底度肝を抜かれました。愛が裏返って、憎しみに変わる時、激しさのあまり笑いの域に突き抜けた、とんでもな仕打ち。ついに出ました〜。これです、これを待っていたのです。たわしコロッケや財布ステーキと並ぶのが生身の人間だったとは、捨て身で来た〜〜。
あと2回!
(木俣冬)