ガラケー時代、女子小・中・高生がこぞって集めたものといえば、カワイイ待受画像だ。好きな芸能人の写真にポエムが入っている画像や、ヤンキー風の一言がデザインされた画像、デフォルメされたディズニーキャラに、「ずっ友」「心友」「友情一生」などとメッセージがつけられたもの……。
こんな風に、女子の画像フォルダは壁紙用の画像で溢れていた。

神的存在だったカナヘイ


そんなガラケー全盛期、女子中高生の間で神様的な存在だったのが、オリジナルの待受画像をアップロードしていた、イラストレーターの「カナヘイ」だ。2002年前後を中心に爆発的な人気を誇ったのが、彼女だった。

ちょっとツリ目でほんわかした手描きイラストに、可愛らしいギャル文字でメッセージが書いてある。初期は既存の版権キャラをデフォルメした画像がアップされていたが、ある時期からはカナヘイのオリジナル画像が中心となっていた。

彼女のイラストは、人気雑誌「Seventeen」でもよく取り上げられていたため、おしゃれな女子の間のマストアイテムになっていた記憶がある。その結果、クラスではカナヘイ風に真似たイラストを描く女子が続出。まわし手紙にカナヘイ風イラストを描いている子もいた。

ガラケー時代のJKの心を鷲掴み


当時のガラケーといえば、今のスマホには到底及ばない代物で、女子中高生がガラケーでできることと言えば、可愛い画像をゲットして、それを待受やメールの送受信画像にすること、そしてお気に入りのウェブサイトをいくつか登録して、登下校中にチェックすることくらいだった。

絵文字や顔文字を駆使しながら、少しでも「デコる」方法を考えたものだ。

そんな流行り廃りの激しい女子中高生の文化において、カナヘイの画像は更新頻度も高く「あの子が持ってるカナヘイ画像かわいい!」「私も新しいの保存したよ!」などと話題にものぼりやすかったのかもしれない。

イラストレーターとして活躍


その後、スマホが普及していくなかで、筆者が懐かしのカナヘイに再会したのがLINEスタンプだった。あ〜!まだカナヘイは活躍してたんだ」と、胸が熱くなった記憶がある。

2002、03年ごろに爆発的な人気を誇ったカナヘイは、その後もイラストレーターとして活動を続けていたようである。
2008年には、少女漫画雑誌「りぼん」で漫画連載を、さらに2012年には全世界配信のきせかえアプリのアイコン素材を作成。ここでは、200万人を超えるフォロワーに壁紙イラストを提供しているというから、スゴイ。

また2014年以降はLINEスタンプでも人気上位に食い込んでいる。クリエーターズスタンプアワードで準グランプリを受賞するなど、カナヘイ人気は衰えることがない。

かつてガラケー時代の神だったカナヘイは、その主戦場がスマホに取って代わった現在も若い女子の間のカリスマのようだ。女の子が感じる「カワイイ」は、時間を超えていくのかもしれない。
(野中すふれ)
※画像はamazonより「学研ステイフル カナヘイ ICカードステッカー」
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